第1156回 昭和の伝道師【 戦中、戦後のパイロットの物語 】

第1155話 関東大震災 部会の設立の事。  2015年4月23日木曜日の投稿です。






 奥宮 横須賀市長は、草鹿参謀の 関東一円の関東大震災の被害状況を聞くと、

こう切り返して 質問をされたのです。


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「 おい、副官、貴様の先ほどの話が本当として考えた場合、 横須賀鎮守府

いったいどのような食糧配給計画の目的を考えているのか。」 と、 く゜っと、草鹿

参謀を見据えたのです。

続けて、「  貴様は、ここ、横須賀だけのことしか考えてないのではないか、うーん。」

と、 痛いところを突いてきたのです。



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たしかに小田原市などの市街地9割壊滅、 被害甚大なる報告は 先ほど入電して

来た情報で、小田原市をどうするかとか、房総半島の被災地をどうするかとか、

そこまで計画を立ててなかったのです。

さすがは海軍少将の横須賀市長、すぐさま全体をとらえて不備なるところを

指摘してきたのです。




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 草鹿、参謀が 返事に窮して、 グッと来ていると、機先を制すように奥宮市長は、

「 横須賀鎮守府とは、 関東一円、 東海一円、 中京一円、 を鎮撫するための 

海軍の組織である、その組織が、横須賀市だけのことを考えて動いていたらどうす

る、役目が果たせないではないか、どうぜよ。」 と、 こう詰め寄られ、 またまた

グッと来て返事に窮してしまったそうです。





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そして、「  貴様、 横須賀だけのことを考えず、 関東一円の全体の事を考えて、

横須賀の事を手を打っていく方針を考えるべきで、 次は 三浦半島一円、 横浜、

東京のことも知恵を絞らんといかん、 ここに座っている 市会議員の大井 鉄丸 

君が、よい智恵があるそうで、 少し聞いて良かったら 横須賀鎮守府で実行して

もらいたい、わずか3個中隊の陸戦隊で、横須賀だけ考えて動いておっては、 三浦

半島一円まで手が回らんわい。」 と 話があり、大井 鉄丸 市会議員の 構想を聞

くことになったのです。

後にいた、先任参謀の 小林 省三郎 海軍中佐も話に加わり、 耳を傾けたのです。   
 



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市会議員の 大井 鉄丸 氏の考えとは、被災した市民、つまり家を無くした人や、

被害が少なかった人も含めて、 その地域、その地域で 部会 【ぶかい 町内会

組織のようなもの】を設立して、その部会の後楯に 海軍が物資やその他の事を

支援し、 民間の力を利用しようとそう言うお話であったのです。

    

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つまり、 震災で孤児になった子供や、そういう人達の世話もできるだけ隣近所で

協力しあい、部会という自治会を作って活動していこうというお話であったのです。

考えて見ると、 横須賀市だけが被災地であれば、 海軍だけの陸戦隊を展開し、

配給などを行えば事足りるのですが、 被災地が、房総半島一円、 東京湾一帯、

三浦半島一帯、 相模湾一帯、 伊豆半島一帯、 大島一帯 と広がったことで、

海軍の兵力だけでは、 到底カバーは出来ない状況になっていたのです。

市会議員の大井 鉄丸議員は、 食糧物資を 海軍だけでなく、民間の有志や、

任侠組織の手を借りて集めてはどうか、 そして、すみやかに 本日中に食糧の

炊き出しを各部会で開始しないと、 治安が悪化するであろうと警告したのです。

      

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横須賀市の被災者が8万人と仮定し、物資を集めていたのですが、集まりが悪く、

予定していた物資の数量とはほど遠く、配給をどうしたものかと悩んでいた草鹿

参謀はこの民間有志からの食糧提供のお話と、任侠団体からの食糧調達のお話に

耳を傾けたのです。



       【  次回に続く。 】