第1182回 昭和の伝道師 【 戦中、戦後のパイロットの物語 】

第 1181話  関東大震災 長門の作戦室での事。 

                       2015年5月28日 木曜日の投稿です。







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長門の作戦室で、 横須賀鎮守府 先任参謀の 小林 省三郎 海軍中佐の関東

地震の被害状況の説明を聞いた 聯合艦隊司令部の面々は、想像以上の損害

にどよめいたのです。




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小林 先任参謀は、「 これより 地震当日よりの部隊展開の配置を説明いたしま

す。」と、説明を続けたのです。



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 9月1日 地震発生後、 深夜より 横須賀鎮守府司令長官の命令で 陸戦隊を

 編成し、 横須賀市と その周辺地域に展開せしめ、 食糧品店、 薬局などに

 兵力を配置し、 商品の販売を禁止し、 各町内会で部会という組織を設立せしめ、

 この部会を中心に、 食糧を配給制にして、 売り惜しみ、 食糧品の買いだめの

 防止、 治安の安定に全力をあげたところであります。




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目下、 海軍の重油タンクの破損炎上については、 消火活動を行ったのですが、

消火に至らず、 今もって炎上中であります。


 

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 横浜市については、 地震の翌日、 日本人と 朝鮮人、中国人との間で

 住民同士の衝突が発生し、 朝鮮人、中国人が 警察署に逃げ込んで、1000人

 近い日本人に包囲されるという事件が発生、 横須賀鎮守府では、 巡洋艦 夕張

【ゆうばり】と、駆逐艦 萩【はぎ】 を派遣し、 陸戦隊を編成して、横浜の治安維持

にあたっております。



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地震から5日後の現在、横浜市の暴動は下火となり、治安は回復しつつあります。


そのほかの地方も、 帝都 東京を中心に、 朝鮮人、中国人と 日本人の暴動が

発生、内閣総理大臣に 急遽 大命降下 で就任した、 山本権兵衛 海軍大将は、

戒厳令を布告、 神奈川県下は、 横須賀鎮守府が 戒厳司令部となり、 目下、

陸軍の野戦重砲第1連隊などと合同で、 神奈川県の治安維持にあたっております。

         


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東京府では、 宮城 【きゅうじょう  現在の皇居の事】 が火災の延焼の恐れ

があると言う事で、 東宮殿下、 皇族の方がたは、 赤坂御所に避難されており、

みなさまご無事であられます。



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海軍省陸軍省とも 建物の損傷がひどく 野外の幕営に場所を移動し、対策に

あたっている最中であります。





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 陸軍では、帝都 関東戒厳司令官に、 福田 雅太郎 陸軍大将が就任し、

 第1師団、近衛師団を中心に 府内に展開し、暴動の鎮圧にあたっております。



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鉄道は、東海道本線はじめ、 各路線とも破壊損傷が激しく使用出来ない状態で、


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陸上の道路も、 損傷が激しく物資の搬入などは、困難にて、 海上よりの輸送を

行う必要があると考えます。」



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このような形で、 小林参謀から、関東巨大地震の現状報告を大まかに聞いた

聯合艦隊幕僚は、 急いで 東北地方、 西日本、 関西地方の 食糧、医薬品を

艦船で 海路で東京に搬入する輸送計画を立案することになっていったのです。



         【 明日に続く。】