第1594回 昭和の伝道師【 戦中、戦後のパイロットの物語 】
第1593話 練習艦隊 江田内を出港ス。2016年8月5日金曜日の投稿です。
1924年 関東大震災の翌年の大正13年7月24日の木曜日の午後、練習
艦隊の浅間、 八雲、出雲 の3隻の内、最後まで江田内に残っていた、 旗艦
浅間が出港したのです。
見送られて、 江田内の夏の海をスルスルスルスルと動き出したのです。
ところで、1番に出港した、源田達の乗る 出雲、 そして、私達が乗る八雲、
そして、最後に出港した 浅間は、岩国沖で艦隊を編成して、伊予灘に向かった
のです。
つまり、行き先を告げられぬ 航海の始まりであったのです。
当時、艦の行き先というのは極秘扱いで、 艦長と副長が知って いる程度で、
どこに艦が向かうのか 全く知らされなかったのです。
私達は、すぐに外国に行くのであろうと、 周囲と一緒に喜んでいたの
ですが実はそうではなかったのです。
そして、「 海軍を辞めよう。」と 誰もが想う程度、つらい航海の始まりで
あったのです。
そして、夕刻、海軍兵学校の正面玄関の船着き場では、 校長の谷口閣下が
夕日を見つめながら、ずっと敬礼されていたのです。
こうして、私達海軍兵学校の第52期生徒の長い長い卒業式の1日は過ぎて
いったのです。
【 明日に続く。】