第2076回 昭和の伝道師【 戦中、戦後のパイロットの物語】

第2075話  第2次近畿自由党関係者弾圧事件のこと。


                          2018年2月19日月曜日の投稿です。




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              【 焼失前の 江田島 海軍兵学校 武徳殿 】


    【 前話の続きより。】


   私達 海軍兵学校 第五十二期生徒が 江田島に在校中、武徳殿という

戦後の現在で言えば、体育館のような武道場がありまして、 ここに 東郷平八郎

元帥の書 額 が飾ってあったのです。


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   この 海軍兵学校の武徳殿、 原因不明の出火で火災となり、瓦礫の山と

  なってしまうのですが、 一番奥の上にある 書 額 は、それはそれは、神様

  のような扱いを受ける うやうやしい 書 額であったのです。



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   その 東郷平八郎 元帥の 書額  機先を制す という文字は、 海軍士官

 の誰もが大切にする、 戦の モットーとなって行ったのです。


                     「 機先を制す。」 


  と言う文字の意味は、 相手の行動を予想し、 その出鼻を挫くことと

  言う意味があったようです。


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          【 抜刀する、 海軍兵学校 校長 草鹿 任一 海軍中将 】


   相手が 油断し、 準備不足のところを 先制攻撃して、相手の動きを制圧

  してしまうわけです。



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 1885年 明治18年 の12月、 内務省の 内務卿であった 山縣 有朋公は

機先を制して、 大阪の元 近畿自由党関係者の一斉逮捕を命令し、容疑や犯罪

など根拠の無い 見込み逮捕を行って行ったのです。



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   見込み逮捕 という言葉は、 戦後の現在知る人は少ないですが、 例えば

 あの男が怪しいと思うとします。

 すると、 事実などは確認せずに、まずは捕まえて、 後から罪名をつけていく

 そういう 人権侵害の行為を言います。

 当時は、 そうして関係者と思われる人を捕まえて、 暴力によって 拷問し、

 情報を聞き出して、 さらに別の人物を 見込み逮捕して、 同様に 拷問して

 さらに別の情報を得ていく、 そういう 捜査が当たり前に行われていたのです。


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  こうして、近畿自由党関係者が 武装蜂起する前に、内務省は 彼等の機先を

 制して、 幹部を一斉に逮捕していったのです。

 そして、 椅子に座らせ、縛り付けて、 暴行を加えていったと伝えられています。


 【 明日に続く。】