第128回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語。】

第127話 教頭先生の上の空の顔                   2012年6月16日投稿です。
 
活動小屋を出て、「敏恵さん、見に来て良かったのうーー。」といいながら、2人でおしゃべりしながら、本屋に、
 
戻ったのであった。
 
本屋のおばさんは、遅いので心配していたようで、「敏恵、ずいぶん長い活動だったのねー。」と、機嫌が悪か
 
った。
 
敏恵さんは、都合悪そうな顔だったので、自分が、頭をゴリゴリとかきながら、「いやーー、おばちゃん、このー
 
空の上を鳥のように飛ぶ、大八車のような、飛行機ちゅー乗り物の活動を見ておってのー、世の中、ラジオ
 
どこでなく、いろんな機械ができているようや。」と、言うと、おばさんが、「すみませんねー、忙しいのに、敏恵
 
が無理を御願いしましてーーー。」と言うのだが、ここで初めて、今まで失念していた、畝傍中学にいく用事を
 
思い出したのであった。
 
「これはいかん、畝傍の教頭先生に会いに行くとこだったんだ、おばさん、敏恵さん、中学に行ってくるので
 
これで失礼します。」と、言って早々に本屋を退散したのであった。
 
急いで、駆け足をして、畝傍中学に急いだ、もう夕方である。
 
もう、生徒はだれもいないようである。
 
冬の12月、もう薄暗くなっていたのであるが、職員室に行ってみると、教頭先生が難しい顔をして、イスに
 
座って考え事をしていたのであった。
 
「あのーーー教頭先生。」と、声をかけると、下を見たまま考え事をしているようであった。
 
【次回に続く。】