第152回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語。】

第151話 射撃姿勢のお話。                         2012年7月10日火曜日投稿です。
 
 安藤大尉は、一通り話がおわると、校庭でならんでいた生徒や、先生に、対して、東の方向に向くよう指示を
 
出した。
 
「かしこくも、天皇陛下のおわす、宮城に向かって、一礼をする。」と言って、かぶっていた軍帽をとって、拝礼を
 
始めた。
 
校庭のみんなは、右にならえで、拝礼をしたのであった。
 
天皇陛下に対しての拝礼がおわると、安藤大尉は、みなに校庭に、座るように、指示を出した。
 
みんな、校庭にしゃがんで座ったのであった。
 
安藤大尉が、「諸君は、軍事教練の教科書を見て、小銃の撃ち方を学習していると思うが、おい、そこのおまえ、
 
おまえだ、前に出てきなさい。」と言って、呉服屋の清水君を前に呼び出した。
 
安藤大尉が、「あそこの鉄棒のところを小銃で射撃するとする、この小銃を持って、すこし構えてみなさい。」
 
と、清水君に対して、話すと、呉服屋の清水君が、膝撃ち姿勢で、小銃を構えると、「君はどうして、そういうかま
 
えをするのか。」と、問うと、「はい、授業で習いました。」と返事をした。
 
 
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                       【当時の生徒に対する軍部の指導状況】
 
安藤大尉が、「諸君、いいかね、学校では、本に書いてあることしか、教えてはくれん、言いかね、戦地の前線で、
 
このような射撃姿勢で、小銃を撃っていたら、1番に敵の弾が当たって戦死する。」
 
「おい、上等兵、こちらに来て、伏せ撃ちの姿勢をせよ。」というと、上等兵が、地面に伏せて、小銃を構えた。
 
「諸君、前線では、必ず、このように寝そべって、射撃に努める、なぜかわかるかね、敵から、見えにくいように、
 
遮蔽物に、身を隠す、これが戦死や、負傷をさける大きな、重要な要点である。」
 
そして、呉服屋の清水君に、安藤大尉が、「君もまねして、やってみたまえ。」と言うと、清水君は、見よう見まねで、
 
三十年式小銃を伏せ撃ちで、構えたのであるが、安藤大尉が、清水君の周りを1周して、「だれか、この生徒の
 
射撃姿勢で、いけない部分があるのだが、わかるものはおるかね。」と、校庭の教師や、生徒に尋ねたのであるが、
 
みんな考えこんで、直ぐ返事が返ってこなかったのであった。
 
「そこの教頭先生、どう思われますか。」と安藤大尉が、聞くと、教頭先生、「はてーー、私にはーーー、よくわかり
 
ません。」と、返事をされて、生徒に対して、「だれか、わかるものはおるか。」と、問いかけたのであった。
 
【次回に続く。】