第213回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第212話 広島第5師団司令部 2012年9月10日 月曜日投稿です。
大正10年5月6日 早朝 場所は奈良から変わって、広島市内の源田實の下宿先の出来事であった。
朝は、早めに朝食をとって、ここ数年、この日のために、体力、学問とも打ち込んできたのであった。
下宿のおばさんが、「實君、がんばってきんさいよ。」と、心配してくれるので、「準備万端、どんな問題でも
大丈夫です。、過去10年間の入試の問題、問答は、すべて暗記しています。」と言うと、「おばちゃんはね、
自信満々のあんたを見ると、おばちゃんね、よけい心配になるんよ、勝て、兜の緒を締めよという言葉があるじ
ゃろう、用心して、がんばってきーね。」と言う物だから、「最後に忘れ物がないか、もう一度見ます。」といって、
筆記用具やら、いろいろな物の点検をしたのであった。
おばさんが、「鉛筆も、折れたらいかんけん、余分をもっていきんさい、昨日の夜、おばちゃんが、カミソリで、先を
とがらしてあげといたけんね。」と言って、5本ばかり、筆箱の中に入れてくれたのであった。
下宿を出発した、實は、一路広島城目指して、北方向に急いだのであった。
広島市は、芸州浅野家の城下町で、町は整然とし、軍都であった。
都市であった。
元安川沿いに北上していくと、商品陳列館が、見えてきた、ここも最近出来た、
洋風の建物で、広島の町もどんどんと近代化していた。
そして、右手に曲がって直進すると、現在の、広島駅前周辺に出る、
そうして、しばらくすると、木造の大きな広島の町のシンボルの天守閣が見えてきたのであった。
掘りを挟んで、大きな大手門がある。 大きな杉の板で、大本営と墨が書きされた、立て札が、
印象的な、おおきな櫓門である。
木造の木の橋を渡って、大手門に着いた、ここから先は、源田は初めてであった。
通ります。」と、大きな声で挨拶したのであった。
【次回に続く。】