第437回  昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第436話  いよいよ奈良駅到着のこと。       2013年5月3日 金曜日の投稿です。
 
 
 
  
 
   もう一方の主人公の私、淵田美津雄は、小池伊逸君【のちの連合艦隊水雷参謀】と一緒に、
 
 
大阪で下車して、乗り換えて、さらに、天王寺駅で乗り換えて、奈良に向かっていた。
 
 
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        客車の中で、目を閉じて、「色々大変やった。」と、江田島のことを思い浮かべて、うとうと
 
      していたのであった。
 
        鉄道というのは、楽で、早くて、良い物で、奈良を出るときには、そんなには、つらくはなく、
 
      車窓の風景を楽しんでいたのであるが、一晩中、揺られて、同じ所に座っていると、
 
      お尻が板の様になってしまい、大変であった。
 
 
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            「まだかいな。」と、窓をのぞくと、藤井寺あたりのようであった。
 
         小池君、 昨夜も、一晩中、カタン、コトン、カタン、コトン、と、揺られて、眠れずに、
 
         うつらうつらとしていたのであった。
 
         
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          鉄道は、峠を越えて、奈良に入っていく、 「おうーーー、もうすこしやがなーー。」と、
 
          車窓の風景を見ていると、奈良駅に着いたのであった。
 
 
   
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           「 おい、小池君、奈良に着いたでぇーー。」と、揺さぶっておこすと、 少しネジが
 
          外れたような顔つきで、起き上がったのであるが、まだよく目か醒めていないようで、
 
          土産袋を忘れて下車しようとしたため、「 おい、忘れもんや。」と、呼び止めると、
 
          「ふぁーーーすいません。」と、こんなあんばいであった。
 
 
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        その当時の鉄道は、奈良止まりで、私たちが住んでいる、葛城方面の、橿原駅までは、
 
 
        鉄道が敷かれるのであるが、この後、3年後のことであった。
 
        私は、小池君に、8月に、江田島に行くとき、待ち合わせして、一緒に行こうと、約束して、
 
        奈良駅前で別れ、一路、五条の町を目指して、歩いたのであった。
 
        暑い暑い、7月の日差しの中、大変であったが、大きな事を成功させた後の達成感で、
 
        足取りは軽かったのであった。
 
 
 
【次回に続く。】