第441回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第440話 魚の話の事。 2013年5月7日 火曜日の投稿です。
しちりんで、アジの開きを焼きながら、 夜が明けてからの予定を思い巡らし、かまどに火をくべて、
麦飯を炊いて、朝食の準備である。
軍艦マーチの鼻歌を口ずさみながら、気分は、帝国海軍軍人であった。
漬け物を、小皿に入れて、簡単な食事の支度の出来上がりである。
そうこうしていたら、朝の鳥の鳴く声がしてきて、薄明るくなってきたのであった。
「もうそろそろ、夜明けやなーー。」と、独り言を言いながら、食卓の準備をして
箸などを並べて、腹が空いたので、先に一人でいただいていると、
父が、起きてきて、 「何だ美津雄、もう目がさめたのか。」と言うので、「 夜中に、腹が減って
目が冷めて、寝られんのや。」と言うと、「そうかいな。」と、いいながら、父も、一緒に食べ
出したのであった。
私が、「 江田島言うところは、魚の美味しいところで、ええところやーー。」と言うと、
父のやぞうが、「 ほうーーーー、そんなにおいしいんかいな。」と、言うので、早朝、三谷の
老婆と、アサリを掘りに行って、あさり汁にしたお話や、キスの天ぷら、 刺身と、三谷家で
食べた食事の話をしたのであった。
「 ほうーーー、父さんも、1度、母さんが体調がよいときに、行って見たいなーー。」と、
興味新々で、いろいろ聞くので、 2次入学試験の前日の広島の海軍省指定のいろは
旅館の懐石料理の話をすると、「海軍と言うところは、豪勢やなーー。」と、楽しく話したので
あった。
特に、昼過ぎに、小池君と一緒に、広島で食べた、支那そばというのに、興味があったようで
アジの干物をつつきながら、父と麦飯の朝食を一緒に食べたのであった。
【次回に続く。】