第1238回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第1237話  大杉、伊藤 遺骨強奪事件の事。 2015年7月22日水曜日の投稿です。





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      1923年 大正12年12月16日 東京 本郷町の駒込片町の大杉

      栄 が生前出入りしていた 労働運動社で 大杉 栄、 伊藤 野枝

      橘 宗一 の3名の通夜が行われていたのですが、 3名の見知らぬ

      弔問客が訪れ、焼香をする格好をしたと思うと、3人の遺骨を脇に抱え、

      拳銃を発砲し、 大きな騒ぎに発展したのです。




      通夜に訪れていた、30人程度が、「 なにをするか、 遺骨を元に戻せ。」

      と叫ぶと、  大声で、「 国賊、 大杉 栄の遺骨は 我々がいただいた。」

      と言いながら、 拳銃をちらつかせて、「道をあけろ。」 と、強談に及んだの

      でした。

      人垣の中から、誰かが、「 あの拳銃は、空砲だ、一気に取り押さえろ。」と

      言う声がすると、 拳銃を持った犯人は、 「 国賊、 大杉 栄、天誅ー。」

      と大声で叫ぶと、 故 大杉 栄 の写真入りの 遺影に向かって、




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        「 バゥーーーーング 。」 と、実弾を発射し、 大杉の遺影に命中し、

        大きな穴が開いたのです。

        外で警備していた、警視庁 駒込署の警察官2名が、「 なにごとか。」

        と入ってくると、 犯人は、「 死にたいか、 どけどけ。」と、拳銃を

        いろんな方向に向けて威嚇しながら、 3人は入り口に急ぎ、

        2人は、遺骨を持って 少し離れた場所に待機していた車に乗って

        立ち去り、 拳銃を持った犯人は、 しんがりを勤めようとしたのか、

        ゆっくりと歩き、 追いかけてこようとした 労働運動社の人々の

        人垣に向かって、「  来るナーーーー。」と、大声で叫び、もう一発、


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        「 バウーーングッ。」 と、 発砲し、 その弾丸が、人垣の中にいた

        男性の耳をかすり、 血が噴き出したのです。

         「 うわーーー、 あつつつつ、撃たれた。」 と現場は 騒然となった

        のです。

          犯人の1人は、 そのまま、少し離れた場所に停車していた

         車に乗り込み、エンジンをかけると、 そのまま 走り出したのです。





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       通夜の会場にいた、 警察官と、労働運動社の人々約30人は、

       「 つかまえろ、逃がすな。」と 叫んで、後から追いかけたのです。


       逃走した 自動車の前に、検問をして 警備していた警察官が、大八車

       などで道をふさいで遮ると、 後から追いかけてきた群衆が、 車を取り

       囲み 犯人の1人を殴る蹴るの暴行を加え、 取り押さえ、 今度は、

       その暴行を警官が止めに入り、 男は逮捕されたのでした。

       



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        駒込警察署に 連行された犯人は、悪い事をしたという 自覚が無い

       のか、「 大化会  会員 下鳥 繁造。」 と名乗り、 「 天皇陛下

       害をなす、 国賊天誅を加えた。」 と語り、 駒込警察署から、

        大化会の 事務所がある 東京 牛込加賀町の本部に、多くの警官が

       遺骨を取り戻しに、行く騒動になったのですが、 遺骨はどこに行ったのか

       わからず、 大化会の 会長 岩田 登美夫 も 知らぬ存ぜぬを繰り返し、

       行方不明のまま、  葬儀が行われる事になったのです。




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         当時の記録では、 3人の葬儀に700人程訪れ、 弔辞を述べる

        時に、 戒厳司令官であった 福田 雅太郎が、事件の黒幕であると

        大声で連呼し、 復讐を呼びかけるに及んで、警官が中に割って入り

        葬儀を中断し、 「解散せよ。」 と命令を出したところ、 労働運動社の

        面々と もみ合いとなり、 3人の 葬式は途中で 中止となったのです。

        そして、 これらのもめ事は、 次の事件に発展していくのでした。



        【  明日に続く。】