第1498回 昭和の伝道師【 戦中、戦後のパイロットの物語 】
第1427話 石炭船 天城丸の事。 2016年4月27日水曜日の投稿です。
大正12年の12月22日、 「 大阪の極道に、アヘンを売りさばいて、 大金
を得て、分けまえを弾む。」 と、 こんな話を日本人に変装した、 上海義烈団の
キム ジソブ から 上海の日本人租界地で持ちかけられた、 船員 黒島星径、
小林 開、小林 貫一 の3名は、密かに自分達が乗り組んでいる 石炭運搬船
天城丸に キムを密かに招いて、 身を隠させて密航を手助けしたのです。
天城丸の船長は、 これらの事を全く知らず、 船倉の下に隠れた
キムを、日本に運んでしまったのです。
各地の港を経由して、 10日後の年が変わった、 1924年 大正
13年の1月3日に、 新年の正月で静かな、九州の門司港に天城丸
は入港したのです。
【 福岡県 門司港 】
天城丸の乗組員は、正月休みで、門司の旅館に宿泊し、キムも
別の客のふりをして、天城丸 船員 黒島 小林 小林の3名と
旅館に入り、 長期間の船旅で入浴しておらず、 風呂に入った
ようです。
船員 黒島 星径 が、 キムの入浴中、 本当にアヘンなのかと
キムの所持品を密かに見たところ、アヘンではなく、短銃と、複数の
手榴弾であったのです。
ちょうどその時、 キムが部屋に戻ってきて、黒島達を見るなり、
「 見たな、 ぶっ殺してやる、 うおーーーーーっ。」と、 大声を
出して短銃に手をかけると、3名は、 大急ぎで旅館から逃走した
のです。
3人とも金に目がくらんでいたようですが、アヘンではなく、拳銃と
複数の手投げ弾だったようで、 びっくりして、 殺されてはたまらんと
思い、一目散に天城丸に逃げ戻ったようです。
上海義烈団のキムは、3名を追いかけず、 彼等が警察署に
通報すると考え、急いで渡船に乗って、対岸の下関に移動し、
鉄道の駅から 東京行きの夜行列車に飛び乗ったのです。
爆殺する目的で、帝都 東京に、 上海義烈団のメンバー キム ジソブ
が 日本人の姿で潜入していったのです。
【 明日に続く。】