第1587回 昭和の伝道師【 戦中、戦後のパイロットの物語 】

第1586話 少尉候補生の自己申告の事。2016年7月29日金曜日の投稿です。






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   前話で紹介したように、 私達が 装甲巡洋艦 八雲 【 やぐも 】の甲板で

整列している前で、 この八雲の幹部の佐官 尉官の人達の自己紹介があった

のです。

日焼けして潮風にさらされた、海の男という感じの人達でありましたが、いよいよ

私達が 自己申告を始めることになって行ったのです。



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1番はじめの、先陣は、 私達の部隊指揮官 赤塚 栄一 【 後の白濱 栄一

海軍大佐でありました。】 少尉候補生でありました。

赤塚少尉候補生は、背すじを伸ばして、足のかがとをつけて、自己申告を開始

したのです。

「 海軍兵学校 第52期卒、 鹿児島県 明治学院中学卒 赤塚 栄一 であり

ます。」と、 それはそれは、雷が落ちたのかという程度の大きな声で申告すると、

数歩副長が歩み寄り、「 ほうーー、貴様は、鹿児島の有名な明治学院中学卒か、

今年度のクラス【学年の事】では、貴様が首席か。」 と、 副長が質問をされたの

です。

赤塚 少尉候補生は、「 違います、第3席であります。」と、返事をすると、

「 ほうーーそうか、それにして立派な成績である。 よろしい。」 と言ながら

、一歩進めると、次の内藤 雄 少尉候補生の前に進み、 内藤 少尉候補生が、

海軍兵学校 第52期卒 山形県ーーーーー云々。」と、自己申告すると、副長

が 言葉を交わしながら次々、自己申告が続いて行ったのです。

 私の番は 当時たしか先任の順序が32人目でありました。


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           【 大正13年 八雲 乗り組み当時の筆者  画面中央  】



    となりの鈴木 成章 少尉候補生が 大声で自己申告を開始すると、

  「いよいよ次は、わぃの番やがな、 人よりさらに大声を出して、 名前と顔を

   覚えてもらわんとあかん。」と こう考えて、足のかがとをつけて、背筋を伸

   ばしてケツの穴に力をいれて、 副長の 羽仁 潔 海軍中佐が前にこられる

   のを待ったのでした。



     【 明日に続く。】