第1608回 昭和の伝道師【 戦中、戦後のパイロットの物語 】
第1607話 練習艦隊 鹿児島湾出港の事。 2016年8月22日月曜日の投稿です。
に停泊して、私達の士官候補生部隊は、桜島登山を行ったり、翌日には、鹿児島
市内を見物したりと、 物見遊山のような日程をこなして、次はどこに行くのか知ら
されず、出港することをラッパ信号で知らされたのです。
当時は、 信号旗や、手旗信号、 ラッパ信号が、 戦後で言う、放送のような
そんな役目をはたしていたのです。
私達は、 甲板に整列させられ、答舷礼で 鹿児島の町に対して、別れを
告げることになったのです。
魚住 士官候補生が、「 ふちやん、あのさー次はどこに行くのか。」 と、問う
ので、私は、「ここから、外国に行くのか、 しかし、外国に行くにしては、艦内の
物資の集積状態から、違うんやないかと、思うんや。」 と言うと、 「 行き先が
知れんでは、どっと疲労が増す。」と、言う物ですから、 私が、「 どっか、陸【おか】
に上がって、 冷たい水が好きなだけ飲みたいがな。」と言うと、「 俺もだ。」と
話をしていると、 船とすれ違い、 みんなが 手をふるものですから、私達も
ゆっくりと、心を込めて、帽子を振ったのです。
しかし、次はどこに連れて行かれるのか、 みんな、知らされていなかったのです。
【 明日に続く。】