第1609回 昭和の伝道師【 戦中、戦後のパイロットの物語】
する、 浅間、 八雲、出雲 の3隻は、鹿児島湾を出港して、薩摩半島を西に転舵
して、その後、進路を北にとって北上していったのです。
私達が、早朝、たたき起こされた頃は 既に天草沖を通過して、長崎沖に達して
いたのです。
進行方向の右舷の水平線に陸地が見えるので、九州の沿岸を北上していると
みんなが感じ取って、周囲から、「 佐世保軍港に入るのだろう。」とか、噂があり
ました。
みなさんも、わかりやすく言えば、 行き先も告げられず、バスに詰め込まれて、
どこかに連れて行かれると、随分不安になる物です。
私達少尉候補生部隊も、 当時、 「 どこに連れて行かれるんかいな。」と、不安が
高まるだけであったのです。
大きな 装甲巡洋艦 八雲 の中の乗組員650名の中で 行き先を知っていた
のは、艦長の鹿江海軍大佐のみで、 みんな 行き先は知らなかったというか、
知らされなかったのです。
海軍の横須賀、呉、とならぶ重要な拠点であったのです。
めざしてどんどん航海を続けていったのです。
【 明日に続く。】