第1637回 昭和の伝道師【 戦中、戦後のパイロットの物語 】

第1636話 第43潜水艦 兒島丈七 海軍二等機関兵曹の事。

                           2016年9月20日火曜日の投稿です。




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  今日のお話は、大正13年3月19日に 軽巡洋艦 龍田と 佐世保市の相浦の

沖合で衝突沈没した、第43潜水艦 第3分隊 兒島 丈七 海軍二等機関兵曹の

お話です。



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  【 第43潜水艦  兒島 丈七 海軍二等機関兵曹  宮崎県出身 】



 兒島 と書いて、【 こじま】と読みます。

 兒島 丈七 海軍二等機関兵曹は、資料を調査すると、宮崎県の東臼杵郡北浦

 村の出身とあります。

 現在の宮崎県 延岡市の北、 北浦町の海辺が、その昔、北浦村と呼ばれていた

 様です。

 兒島 海軍二等機関兵曹の御遺体は、後部電動機室で発見され、遺体の

 ポケットから 海水で濡れた遺書が見つかったようです。



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      【 大正13年撮影 兒島 丈七 海軍二等機関兵曹の遺書 】


  海水でふやけて、見えにくいのですが、解読した物を紹介します。



                      兒島二等機関兵曹遺書 


  午前九時司令塔右舷に斜に傾斜約五十度に達す発令所機械室間の

防水扉一個掛金はずれし為め徐ろに機械室に浸水ありて総員電動機室に移る

総員全力をつくして電動機室の防水につとむ

暫時して水中信号来れども解するものなく甚だ遺憾なり人事をつくして唯死を

待つのみ 主より国家に奉仕せし我は本望なり 気圧高まり呼吸苦しい

将来潜水艦乗員の最も有望なる将兵を乗艦せしめらるるを望む死後の後は

私の真想を世や友に知らしめて下さい

藤本兄  比叡 入江 藤本 ーーーーーに宜しく ではご機嫌よろしく




    と、こうあります。


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 この文章では、 発令所と機関室の間の隔壁の扉があって、この扉の掛けがね

がどういうわけか1つはずれていて、 浸水で発令所が海水が浸水し、発令所の

桑島 海軍大尉らが全滅し、 この扉から、海水の水圧で徐々に浸水し、機械室が

水浸しとなり、 機関長 市村 機関中尉の判断で、後方の電動機室に避難した

事がわかります。

 水中信号というのは、潜水夫のハンマーの打音かー、詳細はわかりませんが

読み取りが出来なかったと言うようなことが書いてあります。

電動機室の点検表の様な紙に書かれたこの遺書は92年間、知る人は少なかった

のですが、 みなさんも時間があったら 黙祷を御願いしたいと思います。


【 明日に続く。】