第1736回 昭和の伝道師【 戦中、戦後のパイロットの物語 】
第1735話 熊本第11旅団司令部壊滅の事。
2016年12月31日土曜日の投稿です。
1895年 明治28年1月30日 日本陸軍 熊本第6師団の主力部隊、熊本
第11旅団は、清国の城塞をわずか1日程度でその一部を占領し、城塞を突破し、
清国の残存艦隊の停泊する 威海衛【 ウェイハイ】に進軍していったのです。
【 熊本第11旅団 旅団長 大寺 安純 陸軍少将 鹿児島県出身】
大寺 陸軍少将は、 旅団司令部を 攻略した清国の城塞に進め、ここで
ウェイハイの 湾内の様子を偵察したのです。
当時の ウェイハイは、湾の中に天然の小島が二つ有って、この島に
清国は城塞を構築し、司令部として、 周囲を固めるように、清国艦艇が
停泊していたのです。
つまり、清国の司令部は、湾の中の島にあって、周囲を海の大きな壕に囲
まれているような造りになっていたのです。
大寺 陸軍少将は 司令部の幹部と、どういうふうに部隊を進めるか
望遠鏡をのぞいていて、 一緒に随伴していた 従軍新聞記者なども
一緒に、 その場にいて、 ウェイハイの湾内を見ていたようです。
このまま推移すると、「 大寺陸軍少将 威海衛に一番乗り。」などと、
新聞記事に出る予定だったようです。
ところが、清国海軍の停泊中の戦艦や巡洋艦から「 打倒 日本人。」と
叫んで、 目視による艦砲射撃が始まったのです。
「 ズッカーーン、ズッカーーン、ズッカーンズッカーン、ズッカーン。」と、発砲音
がこだますると、「シュッシュッシュッシュッシュッシュッシューーッ ドカッーーン。」
と大音響がして、 周囲は煙と、砂ぽこりが充満したのです。
周囲から、土煙が風に流されて、その場から遠ざかると、なんと
望遠鏡をのぞいていた 大寺陸軍少将や、その周囲の参謀、新聞記者、
副官などの人達の頭の上で 瑠弾が爆発したようで、全員一瞬で戦死した
のです。
ところで、砲弾には 主に2種類あって、 徹甲弾と、瑠弾と言うのがあって
破片を周囲に飛び散らせて 人を殺傷する砲弾なのです。
清国艦隊は、 湾の島の城塞砲や、停泊中の艦艇から、目視で日本軍が
城塞を占領し、 進んでくる地域に、 どんどん砲撃を繰り返して 反撃を
開始したのです。
「 第11旅団 司令部壊滅、 大寺旅団長ら全員戦死。」と言う報告は
第6師団だけでなく、 第2軍、 広島の大本営まで届き、大きな衝撃を
与えることになっていったのです。
【 明日に続く。】