第1979回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第1978話 甲申事変 【こうしんじへん】 千歳丸の甲板での談判の事。
2017年11月13日月曜日の投稿です。
【 前話の続きから。】
千歳丸の停泊している 仁川港の船着き場に清国の軍勢が整列し、小銃を
構えて威嚇し、 千歳丸では 大騒ぎになって行ったそうです。
船室から 竹添 進一郎 公使も、船室から騒ぎを聞いて、押っ取り刀で甲板に
飛び出し、 清国兵達の様子をうかがっていると、 外務協弁 メレンドルフが
甲板に上がってきて、「 ミンナ シズカニシナサーィ、 コレカラ リンケンヲ オコ
ナイマース。」と、大声で叫んで、 千歳丸に乗り合わせていた 漢城からの避難民
は、背筋を凍らせたのです。
メレンドルフは、「イウコトヲキカナイ モノハ シャサツシマース。」と、叫んで
脅迫し、 それを聞いて出て来た 竹添 進一郎 公使は、「 話が違うではな
いか。」と、抗議を行うと、メレンドルフは、「 ソレハ ワタシタチノ セリフデース。」
と言い返し、両者、 険悪な雰囲気となって行ったのです。
「 コノ フネニ 朴 泳孝ラ ノッテイルト ツウホウガ アリマシタ、コレカラ
カクニンシマース。」 とメレンドルフが言うと、 竹添 公使は、「 それは困る。」
と 抗議すると、 メレンドルフは、「 アナタハ、ニホンジンニ キガイガ ナケレバ
スキニシロト イッタデハナイデスカ、 ウソタ゜ッタノデスカ。」と 噛みついたの
です。
「 アナタハ ムホンニンノ ナカマダッタノデスカ。」 と メレンドルフ が言うと、
仕方なしに、竹添 公使は、 メレドルフ 達に 臨検を認めたのだそうです。
メレンドルフが、「 ミンナ カカリナサーィ。」 と、手を振り下ろすと、清国の兵士
が千歳丸の甲板から 船室に入っていこうとした時、 「 まてーーーぃぃ。」と
雷が鳴るような大きな声で たった1人で制止した人物がいたそうです。
清国兵は、一斉にその人物に銃口を向けて 威嚇し、 それを見ていた人達は
彼が殺されると、目をつむったそうです。
仁川の港に 12月の冷たい潮風が吹いて、客室の日本人は肝を
冷やすことになって行ったそうです。
【 明日に続く。】