第2024回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第2023話 甲申事変【こうしんじへん】露朝密約事件の前夜のこと。
2017年12月28日 木曜日の投稿です。
【 大朝鮮国 外務協弁 パウル フォン メレンドルフ ドイツ出身 】
【前話の続きから。】
大朝鮮国の政府の全権と、副全権であった、 徐 相雨 大臣と、メレンドルフ
外務協弁 【外務省次官相当】は、両者で打ち合わせの後、 密かに訪れた
駐日 ロシア公使館 書記官 アレクセイ ニコラビック シュペイエル に対して
「 ココニ、 ワレワレノ ヨウボウ ガ カカレテアリマース、 ナニゴトモ
コノ ヨウボウ シダイデース、 コウシニ ヨロシク オツタエクダサーイ。」
と、 ドイツ語で書かれた手紙を手渡したと言われています。
その 宛先は、 ロシア帝国 ニコライ皇帝陛下宛であったそうです。
【 駐日 ロシア公使館 古写真 】
その手紙は、ロシア公使館に持ち帰られ、当時の駐日 ロシア公使の アレク
サンドル ダヴィドフ 公使に手渡され、 検討されることになって行ったそうです。
その内容とは、「 ロシア帝国側の申し入れの 1年間を通じて凍結しない港と、
その周辺の海域、 飲料水、石炭の補給の出来る場所の大朝鮮国の特定の
場所の租借については、概ね了承し、 最終的には国王 高宗の裁可を経て、
ロシア側の要求に極力そうよう努める。」と、書いてあり、 大朝鮮国の政府の
要望として、 ロシア軍事顧問団の招聘、 ロシア式兵器の譲渡 及び 購入、
ロシア式軍隊の錬成、 ロシア式の軍艦の供与などなど、 軍事協力関係の
構築についての要望が書かれていたようです。
そして、数日以内に、隠密に ロシア側と東京で交渉の詰めを行いたいと、
申し入れがあったそうです。
こうして、 大朝鮮国の政府の特命全権大使であった、徐 相雨【ソ サンウ 】
大臣と、外務協弁 メレンドルフさんは、ロシア帝国の駐日公使達と、隠密に密会
して軍事協力について話し合うことになって行ったそうです。
電信で報告されていたそうで、 その動きは、詳細はわからなかったようですが、
袁世凱将軍は、清国が雇っていた 外務協弁 ドイツ人 メレンドルフが、
徐 相雨と一緒に、 ロシア帝国の公使や書記官と密会しているとの電信での
報告を受け、「 メレンドルフは、清帝国を裏切り、謀反を企んでいる。」と、確信
するようになって行ったと言われています。
【 駐日 大英帝国 公使館】
その袁世凱将軍も、 イギリス側に電信を傍受され、外交暗号が解読され、
東京からの報告が、 イギリス側に筒抜けになっていたとは、気がつかなかった
様です。
【 明日に続く。】