第2056回 昭和の伝道師【 戦中、戦後のパイロットの物語 】

第2055話 近畿自由党と新たな反政府活動の事。


                        2018年1月30日火曜日の投稿です。



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   【  前話の続きより。】


  1885年、明治18年の秋頃、 言い伝えによると、朝鮮独立党の金 玉均 氏

と面会した、近畿自由党の幹部達は、 「 大義の為には、小義を殺し、武力に

よって、 維新、回転を行い、 まず、 西洋式軍隊の近代化した軍隊を保有する

日本国内での決起を自重し、 軍事力の弱い、朝鮮半島で決起し、 まずは、

朝鮮を 自由民権の国家に造り替え、 ここをまず第一歩とし、軍事力を整えて、

九州を制圧、 ここを 第2段階の自由民権の国家に造り替え、東に、東に、自由

民権の国家を広げていこうという、途方もない構想を聞くに及び、 日々 弾圧され、

逮捕者が続出していた当時、 近畿自由党の幹部達に、大きな影響を与えたと

言われています。


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            【 近畿自由党 首魁 代言人 大井 憲太郎 氏 】



  そんな当時、 代言人 大井事務所に勤務していた、 元 山陽自由党の影山

 英子先生に、 大井 憲太郎氏が、「 おぃ、英子、 大井薬店に行って、薬の

風呂敷包みをもらってきてくれんか、 行ったらわかる様にしてあるとよ。」と、

大分の言葉で用事を頼まれ、 「 うん、行ってくるけぇ。 」 と、二つ返事で、影山

英子先生は お使いに行ったそうです。  




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   大井薬店とは、どんなお店だったのかというと、 大井 憲太郎氏の養父の

経営する薬屋だったそうです。

 そういうわけで、 養父の薬屋に品物を取りに行くという事は、当時違和感の

ない雑用の仕事であったようです。

 代言人 大井 憲太郎 氏に言われたように、 養父 大井ト新の経営する薬屋

に風呂敷包みを取りに行き、 「 英子はん、ご苦労なこっちゃ、 落とさんように、

するんやで、 ええな。」と、言われて、 「 へぇ、それでは、有り難うございます。」

と答えて、帰り路、当時20才の彼女は、 自分の思い人の大井 憲太郎が、何か

病気なのか、 何の薬なのか、 興味を覚え、 歩いて帰る途中、その思いを抑え

る事がかなわず、途中で、その風呂敷包みを開けて中を見る事にしたそうです。

 若い好奇心旺盛な彼女には、仕方のない行動であったのですが、 開けて見

るとガラス瓶が数本入っていて、 「 何じゃろうかねぇ この水みたいなんは。」

と、 ガラス瓶の栓を抜いたとたん、「 シューーーーッ。」 と、白い煙がたち登り、




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  なんと、 蒸発していったそうです。

 「 なんじゃろうかね、この薬は、 へんなのーーー。」 と、そのまま、栓を元に

戻して、 大井代言人事務所に持ち帰ったそうです。

 生前の 影山 英子 先生の思い出話では、 男を好きになり、周囲がわから

なくなり、 学問を志していた事を、捨てて、愛に走り、 所帯持ちの 大井 憲太郎

を好きになってしまい、当時 彼の言われるがままに行動していたそうです。

そして、何の薬か、結局わからず、 複数回、 運んだそうです。




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 実はこの薬品、 数ヶ月後、 年が変わって 明治19年になって知る事になった

のですが、 薬を混ぜ合わせると爆発する 爆薬の原料の薬品であったそうで、 

当時、 何も知らず、男に騙されて、 人を害する行為に知らず、知らず、加担する

事になっていったそうです。


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                  【 近畿自由党 影山 英子先生 】



  幼少から聡明で、学問に秀でて、 岡山県で15才からその才能を認められ、

 学校の教員を勤めていた 影山 英子先生は、 蒸紅学舎事件を経て、大阪に

 至り、 近畿自由党 大井 憲太郎 に 乙女心をもてあそばれ、子供を身ごもり、

 そして、 福沢 諭吉先生の、言論で、民主的な、国民みんなが平等な、民主

 国家をと言う 自由民権の道から、少しずつ 若い彼女は 知らず、知らず、

 本当の自由民権の道から それて行ったそうです。


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  「おなごに 学問など不要、 飯が炊けて、子育てをすればよい。」と言う 江戸

時代から続く封建的な考えの世の中を少しでも変えたかった、 女子も学校に

通って、好きな事に取り組んで、福沢 諭吉先生の唱える、 社会の為になる

学問を勉強できる、そういう時代に、少しでも自分が貢献できたらという思いが 

若い彼女には充満していた当時、 郷里の岡山を離れて寂しい思いをしていた

時、男に親切にされ、 自分の夢話を聞いてくれる、 大井 憲太郎に恋心を

いだいてしまった、仕方のない成り行きであったそうです。

 「 当時、だまされた、うちが、ほんまに馬鹿じゃったんじゃ。」 と、後に ハン

カチで涙を拭きながら語られていたそうです。


【 明日に続く。】