第2068回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第2067話 朝鮮独立党 金 玉均氏と方円社の和解交渉の事。

                          2018年2月11日日曜日の投稿です。






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【 前話の続きより。】


    私達 海軍兵学校 第五十二期の面々が、江田島海軍兵学校で教えら

 れた 江田島精神とは何かと言うと、 「 見敵必戦の精神。」 と言って、


                「 見敵必戦の精神。」


これはイギリス海軍の伝統精神で、どういうことかというと、 例え 一人の身1つ

であっても相手が一万二万の大軍であっても、海上で敵と出会えば、 ひるまず、

果敢に打って出ることを信条とし、相手の懐に飛び込み、まず、身を切らせておいて、 

相手の骨を断つことを教えられたのです。


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   防御ばかりしていたのでは、 攻撃がどうしても疎かになり、攻撃は最大の

   防御なりと言う訳です。


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    ところで 朝鮮独立党の金 玉均氏の碁の打ち方は、まさに江田島精神その

  ままで、 打って、打って、打って、 突進、突進、突進の囲碁の打ち方で、だん

  だん 方円社の中川 亀三郎氏に圧迫感を与えていったようです。

  この 碁の勝負、 方円社の社長 中川 亀三郎氏が、後藤象二郎公の体面

  を考え、 顔を潰さぬよう、自ら負けたとか、 本当に真剣勝負をして、金 玉均

  氏が 囲碁の勝負で勝ったとか 言われていますが、生前、一切自分が、中川

  亀三郎氏に勝ったとか、他人に話さなかったそうです。


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          【 福岡市の愛國組織 玄洋社の 明治期の幹部集合写真 】

 

 こうして、 囲碁本因坊家と方円社は、和解は先送りとし、年に数回、公開での

両者の対局には方円社がとりあえず応じ、 交流を始める事で合意がなされたと

言われています。


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  方円社としては、 本因坊家と対局して、 勝てば、 自らが主張していた

実力のある人が 上位の有段者になるべきだという主張が、世間に認められる

よい機会であると考えたようです。

 又、 金 玉均 氏の「 家柄によって、人を排除したり、囲碁の世界で、上に

 上がっていけないというのは、福沢 諭吉 先生の唱える 自由民権の精神

 に反することでーーーー。」と言うお話しも、 中川 亀三郎氏の心を突いた

ようです。

 そして、 交流囲碁を行うと言うことは、 方円社の中でも異論を唱える人は

 少ないと考えたようです。


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   当時の方円社は、新しく出来た 寄り集まりの連合体で、その中心の高段者

 のメンバーが、本因坊家に破門され、段位を剥奪された人が多く、 そういう人を

 抱えたまま、 本因坊家と和解などすると、 それらの人が反発し、 空中分解

 する危険性を帯びていたのです。


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                 【元 立志会 植木 枝盛 先生 】 

  それ故、土佐の自由党の 後藤 象二郎 公の和解調停や、 立志会の

植木 枝盛 先生の 積極的な和解工作に 難色を示し、 応じられない態度を

とり続けていたのです。


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          【 三菱商会の創業者  岩崎 弥太郎 氏 】


  それから、 数ヶ月前、 本因坊家との和解に反対していた 三菱商会の岩崎

 弥太郎 氏が亡くなったのも 影響したようです。

 和解は表面上行わず、 年に数回の公開での囲碁勝負を行う事は、方円社が

 勝てば、世間に対してよい宣伝になり、 方円社の囲碁の強さを、家柄重視の

 本因坊家に見せつけられるよい機会と、方円社の他の本因坊家と対立する

 諸氏に説明すれば、 そうーー波風は立たないと先を読んだようです。


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          【 明治初頭の 土佐自由党の 後藤 象二郎 公 】


 この出来事を、熱海の別荘の新築工事現場で聞くことになった、後藤 象二郎

公は、 「 玉均め、 考えおったな。」 「 しかし、 命をかけるとは、大器なり。」

と、つぶやいたそうです。


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  みなさん、困難な目的に対して、その完遂のため、 金 玉均 氏は、 まくり

 の紙に「 命。」 と書いて、相手に手渡し、 自分の命を捨てて、相手に飛びつ

 いて、 懐に飛び込んで、その目的の完遂を果たしたのです。

 このお話しを伝え聞いた、 福岡市の玄洋社の 平岡 浩太郎 社長や、 頭山

  満 先生は、「 さすがは 元 大朝鮮国 全権公使、ーーー。」 と多いに感心

  したと伝えられています。


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   長々と、 紹介してきましたが 次回のお話しは、碁盤が 大金になっていった

 そう言うお話しです。

  どうなっていくのか、お楽しみに。

 【 明日に続く。】