第3277回岡山市平成30年7月豪雨水害の原因を調査するその3。模型公園
みなさん おはようございます 模型公園です。
2018年7月24日火曜日の投稿です。
【 押しよせた泥水による 破損状況 古閑家 】
【 前話の続きより。】
2018年7月7日の深夜に発生した 岡山市平成30年豪雨水害の原因を
調査する3回目のお話しです。
火災、崖崩れ、爆発、水害など、どれも原因があって発生するわけで、その
原因を調査して、 その教訓を未来に生かし、新しい避難計画に生かしていく
事が肝要です。
【 砂川橋 東詰 北400メートル付近、堤防決壊現場 】
前回のお話で、堤防が決壊して川砂が東側に大量に吹き出ている
写真を紹介し、 今現在も仮設の土のう積工の下部から 大量の水が
流れ出ていることを紹介しました。
それから、 複数 堤防が破損して 埋め戻しの状態で応急処置をして
ある状態でした。
これらの堤防の破損状況を見ると、上の写真は初期の天端の道路崩壊の
典型的な破損状況で、 さらに濁流に洗われると 下部まで崩れてしまう
そういう以前の状態で大変興味深い現場となっています。
水害が発生した原因は、堤防が決壊したからです。
これは 動かしがたい事実なわけです。
【 堤防決壊現場 西側土手から東方向を撮影 】
では、どういう経緯で堤防が破壊されていったのか、 この事を検証して
原因を特定し、災害復旧工事に生かして、 工法の選定などを検討する時に
生かさなければ、また 同様の事案が発生すると僕は思ったのでした。
【 堤防決壊現場 西側土手から 北東方向を撮影 】
みなさん注目したのは上の画像の右の川の中の大きな木です。
どう見ても 樹齢30年以上経過しているようです。
つまり、この木が芽を出して それ以後、川底の砂を除去する浚渫を
行政が放置して行っていないことを証明しています。
【 崩壊現場位置図 】
河川など、水の流れは直線の場合、 ずっと下流に向かって流れて
行くのですが、この災害発生現場は、緩やかなカーブを東に向かって曲線
を描いて流れて行きます。
カーブの部分に長年の堆積土がたまって、川底が浅くなっていった。
川底が浅くなると、 水は横に広がったり、 水位が上昇したりするわけです。
現地踏査して 感じた事は、上流から流れてきた濁流は、直線部分では
そうでもなかったのですが、 曲線部分に達した時、長年の堆積土で川底
が浅くなっていた事と、 西側の堤防に濁流が1度あたり、 そして対岸の
堤防に複数回打ち寄せていくうちに、堤防の天端の舗装道路の下の傷んだ
部分を浸食し、平成30年7月7日1時30分頃、 第1回の堤防の上部部分
の浸食崩壊が発生したと考えられます。
この時、路盤材とアスファルトは、濁流で破壊され、堤防の高さが、
濁流に破壊されて、堤防がどんどん低くなっていったと考えられます。
つまり、堤防の土が、濁流によって含水比が上昇し、アイスクリームが
溶けるように 崩れていった。
平成30年7月7日 午前1時40分 さらに堤防の中央部が破壊されて
たくさんの濁流が東側の水田に流れ込んでいったと推測されます。
【破壊された 護岸ブロックの状況 】
平成30年7月7日 午前1時50分頃 3回目の堤防の崩壊が発生
し、おそらく濁流に洗われて、決壊現場の南、 つまり少し下流部分の
堤防が破壊されていったと推測されます。
新幹線が通過したような 「 ゴーーーーーーッ。」 と言う音が3回聞こえた
という証言の音の出所は 堤防が崩れた音であった可能性が非常に高いと
判断しました。
【 堤防決壊現場 平成30年7月7日の19時頃撮影 】
【 堤防決壊現場 7月7日 19時頃撮影 】
上の写真を見ていただくと、堤防決壊現場で 白波が見えます。
おそらく、 堤防は1度に根元まで破壊されたのではなく、 濁流に洗われる
形で、アイスクリームが溶けていくように 数時間かけて土が流されていった
と考えました。
水田に濁流が入り出したのが 平成30年7月7日の午前1時30分と仮に
仮定すると、目撃証言を総合すると、20分で広い水田は水没して、農業用
水路の普段の水面から おおよそ2メートル50センチ上昇していったようです。
家の裏で何かおかしい音がする、こんな時間帯に新幹線が走るわけが
なく、 どうなっているのか 懐中電灯を持って 裏に見に行った僕は、
上の画像より もっと 水位が上昇していた 西側風景を見て、即断で
避難する事を決めることになって行ったのです。
【 明日に続く 】 【コピー転載自由】