第3348回 岡山県倉敷市真備町の集団損害金請求訴訟を考察する。 模型公園

みなさん おはようございます。 模型公園です。


                     2018年9月23日日曜日の投稿です。




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       【平成30年7月7日の夜に堤防が決壊して大惨事となった小田川



   【前回 第3345回の続きより。】



   今日の僕のお話は昨日の記事の続きです。

 岡山県倉敷市真備町周辺では現在 あるご老人が呼びかけ人となり、

約150名程度参加して、国家を被告とする損害金請求訴訟を準備されて

いるとのお話しを現地の人から聞きました。


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   僕の家もそうですが、家の中がすべて泥まみれとなり、卒業アルバムなど

 の思い出の品や、あらゆる品物が汚水に沈んでダメになりました。

 何が悪いのかと言うと、堤防が崩壊したからです。

  そう言うわけで、僕も末端の被災者の1人として 怒りや不満はよくわかります。

 岡山県倉敷市真備町周辺では、国土交通省 河川局が管理する堤防が

 崩壊したのがすべての始まりで、 それによって発生した損害金を国家に

 請求しようという提案があるご老人によってなされ、お話しが進んでいる

 ようです。

 ご存じのように 裁判を行うと、多額の費用が発生します。

 事件着手料金 拾万円

 訴訟金額によって どんどん 弁護士の手数料が跳ね上がっていきます。

 弁護士に相談すると、30分で相談料金 一万円、二万円と飛んでいきます。 

 多くの人が参加して、割りかんにすると、 1人あたりの負担が減ります。

 こういう事情で、「 訴訟に 参加しませんか。」と、呼びかけが行われている

 最中のようです。



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 僕も被災者の1人として、裁判に関係することを調べて見たので、よかったら

被災者のみなさんに 読んでいただけたらと 投稿します。



日本国憲法 昭和二十一年十一月三日制定 という法律は、 どんな法律よりも

優先されると決められています。


 日本国憲法 第九十八条には、

国の最高法規である。 憲法に反する決定、判決は無効である。


 と定められています。




 そう言うわけで、 裁判を行う場合、 まず、日本国憲法のどの法律に

 該当するのかを検討してみます。


  日本国憲法 第十一条 【国民の基本的人権

  日本国憲法 第十四条 【国民は法の下に平等】

  日本国憲法 第十六条 【国民の平穏な請願権】

 そして、この法律が今回の訴訟の根幹の法律で

  日本国憲法 第十七条 【公務員の不法行為による国への国民の賠償権】

 そして、

   日本国憲法 第二十九条【 国民の財産権】

 という法律が 今回の事件に該当する法律となります。

 日本国憲法 第三十二条 【 国民の裁判権】 という法律によって、国民は

 誰でも裁判を行う事が出来ると定められています。


  そういう事情で、「 国土交通省の河川局の管理する堤防が壊れた、

  財産の不動産や、動産が被害を受けた、 多いに不満である。」という

  場合、 国民は誰でも 国を訴えることが出来るのです。

  そして、民事訴訟法 第三十八条に定める 共同訴訟の要件 に該当すれば

  みんなで一緒に 裁判を起こすことが可能です。



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  どこの裁判所で裁判を行うのかーーーー。

 
 民事訴訟法 第二節 管轄

 第四条ー6  国を管轄する官庁の所在地 という法律があって

  東京地方裁判所 で 裁判が行われるのが 通例です。


 ところで、 倉敷から東京まで往復すると、1人一泊2日で約6万円程度

費用がかかります。

口頭弁論など複数回ありますので、旅費だけでも多額の費用になります。




  そこで 費用を抑える方法として、 裁判所に対して、こう言う法律を提示して

僕が原告であった場合、 地元の裁判所で裁判を行うように作戦を作ります。


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 民事訴訟法 第五条 【 財産権上の訴え等についての管轄】 という法律が

 あって、 その中に、


 民事訴訟法 第五条ー九  不法行為に関する訴え。

                       ー 不法行為があった地

 民事訴訟法 第五条ー十二 不動産に関する訴え。

                        ー 不動産の所在地の管轄裁判所  


と言う法律があって、 この2箇条を根拠に 地元の 岡山地方裁判所での

裁判が行えるよう 主張することが出来ますが、 その判断は 裁判官まかせ

となります。

僕が原告の場合、岡山地方裁判所 倉敷支部に対して、訴状を提出します。

原告は ○○ □□ と書いて、

被告のところですが、 どう書くかというと、

 国土交通大臣 ○○とか、 国土交通省 □□ とか書いてはだめです。


    
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   昭和二十二年十二月十七日制定 法律第百九十四号 という法律があって

 この中の第一条



 国を当事者又は参加人とする訴訟については法務大臣が国を代表する。





 と定められていて、 今回の損害金請求事件は、 被告を法務大臣 ○○に

 する必要があります。

 今年の春から全国の裁判所で統一された指導が行われていて。

 国家を被告とする 被告表示は、


    被告 国 代表者 法務大臣 ○○ □□  


 と表示しなければなりません。

 途中で、内閣改造があって、 法務大臣が交代すると 自動的に 名前が

 変更になります。



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  民事訴訟法 第百一条 及び、 同 法 第百三十八条【被告への訴状の送達】

 と言う法律に基づいて、 被告の東京都千代田区霞が関法務省に訴状が送達

 されます。

 ここで、民事訴訟法 第百三十七条 【裁判長の訴状審査権】という法律が

 あって、 裁判官が、倉敷ではなく、 東京で裁判を行う決定をすると、

 同 法 第2項に基づいて、指導があり、 指導に従わないと、 第3項に

 裁判長の訴状却下権というのがあって、 裁判が開けなくなります。


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  ところで、 「国土交通省 河川局の堤防や河川の管理が悪かったので、

 被害を受けた、 損害を弁償しろ。」 と申し立てる場合、


 国家賠償法 第一条に基づいて 国に損害金を請求するようになります。




 例えばですが、 総理大臣が 公用車を運転していて、人をケガさせた場合、

 総理大臣に損害を請求したら 裁判では被害者は敗訴するのです。



 つまり、国家公務員個人に損害賠償を行う必要は無いとされていて、 それが

 国家賠償法 第一条になります。

 国家公務員個人に損害賠償を行う必要がないと定められていて、その代わり

 に国家が、国家公務員の不法行為に対して損害金を支払うと定められています。



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  ここからが大切で、 仮に 岡山地方裁判所 倉敷支部で 裁判が出来る様に

なっても、 法律 第百九十四号 第二項に基づいて 国側の法務省の訴訟代理人

が出廷します。

 どう言う人かというと、 法務省 訟務官 と言う役職で、司法試験に合格し、

 国家公務員で、 その界隈の弁護士では太刀打ち出来無い程度優秀です。

 上席訟務官 1名、 訟務官5名 事務官1名の7人一組のチームを相手に

 裁判を戦う事になります。


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    剣道で言えば、警視庁や大阪府警の武道師範 7名と 1度に殴り合い

   をするようなもので、 裁判をする以上 覚悟をして 全財産を突っ込んで

   勝負をする覚悟が必要です。



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  ところで 国家賠償法 第1条に基づいて、国家からお金を受け取るには

  ある法則があります。

  その法則とは何かーーー。


国又は地方公共団体の公権力の公使に当たる公務員が個別に国民に対して

負担する職務上の法的義務に違反する必要があるのです。


  最高裁判所 昭和60年11月21日 第一小法廷判決

  最高裁判所 平成17年9月14日 大法廷判決


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  例えば、 堤防が壊れていたのを放置していて、 大惨事になった という

  証拠資料を揃えて、法廷で 準備書面と一緒に 主張して 立証する必要が

  あります。



 国家公務員の職務上の法的義務違反が認められるのは、国家公務員が職務上

尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該行為をしたと認め得るような事情

がある場合に限られる。


 最高裁判所 平成5年 3月11日 第1小法廷判決。

 最高裁判所 平成11年 1月21日 第1小法廷判決。


以上のような 判決例 つまり 通称 判例から、 原告が立証する必要が

あります。



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  例えば、上の道路陥没を放置していて、子供が夜に 落ちてケガをしたとか

  そういうことが、証拠写真や医療費の領収書など 提示する必要があります。

  ところで、今回の水害事件の場合、 どんな証拠資料があるのか、 この点を

  訴訟に参加する人は、よく確認して、 参加する必要があります。

  口頭のみで、木が茂っていました、 堤防に亀裂がありました とかは、採用され

  ません。


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 損害金の内訳も 各家庭すべて、円単位で正確に計上して、証拠資料として

 提出する必要があります。

  つまりですね、 既に捨ててしまった 家電製品の領収書や、購入日なども

 調査して提出しなければなりません。

 本や、その他の家の内外の備品すべてです。

  そんなことは 現状、僕の家もそうですが不可能です。


  人を殺していても、 ケガをさせていても、 「 そんことはありません。」と論陣を

  張るのが 訟務官の仕事です。

  相手は7名のやり手弁護士以上の人達です。

  今回も、「予測不能な、不可抗力の天災です。」

  と申立があるでしょう。 

  どこまで 素人が太刀打ち出来るか、良く考えていただきたいとお知らせしたい

  のと、そして判断を人の言葉にに流されることなくご自身で決断をお願いしたい

  と思います。


  民事訴訟法 第六十一条には、 訴訟に負けると 訴訟費用も敗訴側の原告が

  負担することが定められています。

  安易な気持ちで、 呼びかけに応じ、参加すると、1年後、2年後と、次々

  訴訟費用の請求に対して 原告の1人として支払いが発生していきます。



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    僕が堤防の 瑕疵を撮影しているのには訳があって、 いろんな場合

   この写真が武器になるのです。

   こういう写真が、訴訟を呼びかけている人が 持っていればよいですが

   証拠資料を用意できていない場合、弁護士にお金を取られて終わってし

   まいます。 

   よくよく考えて 熟慮して 参加してください。

   僕は、過去の事案を検討して、 訴訟を起こしても 弁護士が儲かるだけで

   原告は敗訴が濃厚であると 予測しています。

   弁護士というのは、 手数料で生活しているので、この度の事案はよい仕事

   であると僕は思います。

   集団訴訟の場合、損害金の額が億円単位になるので、弁護士の手数料
 
   も多額の金額に跳ね上がります。

   敗訴した場合も、 原告は弁護士にお金を払う必要があります。

   しかしながら、被災者の立場で考えて見て訴訟を起こして、その先どうなって

   いくのか、どんどん 費用が発生して、 それを約150人で負担するにしても、

   出費は出費で、 国家賠償法 第一条に該当することを法廷で立証すること

   は困難であると僕は結論を出しました。


   被災者のみなさんに、よかったらこの記事をコピーして 訴訟に参加する

  人達に知らせてあげて、 読んでから裁判に参加するか、 参加しないか、

  将来発生するであろう 金銭の負担をよく把握して参加していただけたらと

  思います。

  第一審の地方裁判所で勝訴しても、相手が控訴すると、もう一度高等裁判所

  の訴訟費用が発生し、 さらに「 憲法違反がある。」と申立て、最高裁判所

  上告した場合、さらにそれ以上の費用が発生していきます。

  「裁判を行いましょう。」と言う人達が、そこまで熟慮して、訴訟費用などを

  把握しているのか、いないのか、 このあたりも直接 確認して判断をお願い

  したいと思います。


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  つまり ここ数年に渡って、多額の出費を抱え込むことになることが濃厚で、

  そのような事に陥らないように配慮し、今は生活の再建に全力を傾注すべき

  時ではないかと被災者の1人として思い至りました。 
  
  大変な思いを今もされているのはよくわかります。




  今は、政治家も、行政の職員も、国民も 一致団結して、水害の対処を

  行うべきであって、争う時では無いのではないかと思っています。 



  ゆえに、真備町の人達の先々の事を考えると僕は心配しています。


  【 次回に続く。】【 転載、コピー自由です。】