第２２７３回 昭和の伝道師【 戦中、戦後のパイロットの物語】
第２２７２話 鎮海 瓶を頭に乗せる少女のこと。
２０１８年１１月６日火曜日の投稿です。
【 前話の続きより。】
軍人が朝鮮総督を山縣 有朋 公の派閥から続けて出していくということが慣例
動かすようになり、 そして、陸軍部隊が警察活動を一緒に行うようになって行った
そういう事情で、一部の軍人が暴走するようになって行ったというお話しを紹介
したのですが、 私達が鎮海を訪問した頃の印象というのは 現在と少し違って
いたのです。
この写真を見ていただくとわかるのですが、朝鮮は各家庭に井戸が少なく
子供が 頭の上に瓶を乗せて 毎日、毎日、水汲みを行うという風習があった
のです。
日本人が義務教育と叫んでも、 子供を労働に使用して学校に行かせようとし
ない親が当時非常に多かったのです。
それから、洗濯場と飲料水の取水場が同じ場所という地域が多数あって、
疫病発生の原因になっていたのです。
それから、みょうな風習が、地域地域に染みついていて、 みょうな風習と
言うのは何かと言うと、 例えば 衣服ですが、 身分の高い貴族階級は
そうでもないのですが、 身分が下がるにつれて、 諸外国人が見て軽蔑す
る風習が当時は多かったのです。
当時もそうであって、私達は、「 なんや、 あのかっこうは。」と驚いたという
か、 正直に言うと、 喜んだのですが。
乳房を出して 道路を歩く人が多かったのです。
その人が おかしいわけでなくて、 朝鮮では 乳房を出して歩く事が当たり前
であったのです。
そのような事情で、 当時は乳房のところが無い服が多かったのです。
そこに 日本人が乗り込んで、文明開化、鉄道を敷いて、港を整備して
日本語を公用語に指定し、 悪い風習の数々を禁止していったのです。
当然、 全土が広すぎて、日本人の警察官では数が足らず、 陸軍の兵士が
それに加わり、 その指揮を 陸軍憲兵隊が行うようになり、 警察が陸軍の
下部組織になって行ったのです。
この結果、 陸軍将校が、日本の内地と違い、 朝鮮で権力が広がり、大きな
態度になっていったようです。
朝鮮が陸軍の國のようになって行ったというのは、そういう事情が根底に
あったのです。
現地で、 子供を労働から解放し、小学校に行かせるように圧力をかけ、文字
や算数を教え、 義務教育を行って行った反面、 現地の人からは大きな反発を
受けていったのです。
戦後の日本に例えると、 そうーー「女性はスカートははいてはならない。」
とか、 勝手に定めて、 自衛隊の人や、警察官がやってきて、 スカートを
はいている女性を見ると、走ってきて、 罰金をとって 見咎めるーー。
そういう事を行ったとしたら、「 なんやっ、 あんたら。」 と言う事になって
いきます。
「乳房を出す服装は厳禁である。」 と、 日本語でしゃべっても、当時は
日本語がわからず、庶民にまったく言葉が通じなかったのです。
そこで、陸軍の憲兵が、「 修正。」 と、大声で叫んで、 ご婦人に、平手打ち
を加えたりしたそうです。
逆の立場からすると、大昔から着用している乳房が露出する服を着ていて
なにやら 和人がやって来て、 意味不明な言葉をしゃべり、ビンタをして
来るわけですから、 反感をいだいても仕方のないことです。
ハングルや漢文の文字を漢字とひらがなに変える事を強要していったという
ことを批判する人も多いのですが、日本に併合したので 公用語に統一するという
以前に、当時、文字を書いたり、計算をしたりすることが出来る人が少なかったの
です。
そういう事情で、 いろんな悪い風習をやめさせるために、当時は、いろんな禁止
命令が出されて、 暴力を加えたり、 理不尽な事が行われたりしていたのですが
現在の物差しで測ると、 そうしたほうが将来のためには良かったと思われます。
いつまで経っても、子供が学校も行かずにこき使われ、文字を読めない、かけない
計算が出来ない。乳房を出して女の人が道を歩く、 こういう社会では、他の民族
から軽蔑されていくと思います。
ただ、 今の物差しで振り返って考えると、もう少し別の方法はなかったのか
と言う事が後悔されます。
当時、 残念な事に、私達は、ご婦人達の乳房がみんな見えるので、嬉しい
顔をして、「 ほーーう、 すごいもんやな。」とか、 物珍しく見て歩いていたのを
記憶しています。
【 明日に続く。】
