第100回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語。】

第99話  農作業を手伝う。                        2012年 5月17日 木曜日
 
その日の夜の夕食時、アジの開きを、焼いた干物をおかずに食事をしながら、父やぞうと話しをした。
 
父に、「父さん、向こうの家の、山口のおじさんが、稲刈りを手伝ってくれと言うので、2,3日、手伝おうと思う。」
 
と、話すと、父が、「美津雄、断ってしまえ、1件手伝うと、みんなの家を手伝わないといけなくなるぞ、」と言う、
 
父の話も、もっともな話であった。
 
山口の家を手伝って、よその家からの話しを断ると、角がたつと思ったのであるが、そのときは、手伝いの話は、
 
1件だけであった。
 
「父さん、入試が終わるまで、近所に配慮しとかないと、ほんのささいな事から、受験がつぶれてしまう可能性
 
がある。どうせ手伝うなら、ぶつぶつ言いながらするより、自分のためと思って、手伝った方が良いと思うのや。」
 
と言うと、「稲刈りの時に、鎌で、手をよくケガするので、美津雄、手元を良く確認して、作業しろよ。」と、父から
 
忠告を受けた。
 
次の日、新聞の仕事を6時までに配り終えて、帰っていたら、山口のおばさんが、我が家にきて、朝食を持っ
 
てきてくれていた。
 
「校長先生のぼんさん、ごめんなさいねー、無理を頼みまして。」と丁重な言葉をいただいたので、「やったこと
 
ないので、足手まといにならなければ良いのですが、ーーー。」と返事をした。
 
朝食を、作る手間がはぶけたのであるが、おにぎりと、お味噌汁をいただいて、手ぬぐいを首に巻いて、
 
母に、出てくると一言告げて、家を後にしたのであった。  
 
【次回に続く。】