第115回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語。】

第114話  書類を受け取りに畝傍中学に出向く。         2012年 6月2日 投稿。
 
翌日に、畝傍中学の授業がおわった時間帯を見計らって、書類を受け取りに中学に出向いたのだった。
 
途中、帰宅中の後輩に、すれ違ったのであるが、なんた゛か、浪人中と言うこともあり、恥ずかしい気分で
 
あった。
 
そして、職員室を訪ねると、「教頭先生が、淵田君、こちらに来なさい。」と、手招きするので、行って見ると、
 
「そこに、かけなさい。」と、指示されるままに、イスに座ると、岡本先生も来られて、書類を持ってこられた。
 
教頭先生が、「学校としては、君のために、出来るだけのことをしておいたよ。」といわれ、茶封筒を渡された。
 
岡本先生が、「来年は、合格するとよいのだがーーーー。」と心配そうに、お話しくだされ、、教頭先生が、
 
「東京帝大より、倍率が高く、陸軍士官学校とならんで、海軍兵学校は、難関だ、なかなか、合格は難しい。
 
当校より、合格者は、なかなか難しいが、学校を代表して、淵田君、なんとか、がんばってほしい。」
 
と、激励をいただいた。
 
教頭先生が、「ところで、淵田君、9月に来たときに、君から聞いたのだが、英語の試験が、不合格とか、
 
で、今年の試験がだめだったそうだが、先生の知り合いで、英語に堪能な人がいるのだが、紹介状を書いて
 
あげるから、短期間になると思うけれど、訪ねてみてはどうかね。」と言われたので、「それは、助かります。」
 
「実は、映像小屋の、外国映画などを見て、発音などを独学していたのですが、どうもこうも、よくわからず、
 
難儀をーーしておったのです。」と、話しをすると、教頭先生が、「私も、詳しくはその人を知らないのだが、
 
なんでも、英会話は、たいしたものらしい。」と言う。
 
便箋に、さらさらと、紹介状を書いていただいて、茶封筒の中に入れていただいたのであった。
 
その後、母の近況とか、新聞配達の事とか、2名の先生に報告して、おそらく来年も、陸軍憲兵隊の
 
身辺調査があると思われるので、よろしくお願いしたのであった。
 
【次回に続く。】