第189回  昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第188話  自宅で、家族に報告する。                2012年8月17日金曜日の投稿です。
 
 奈良の町を出て、急いで、葛城の自宅に戻った。帰りに、八百屋で、色々と食材を買いこんで、ふと見上げると、
 
鮭の干物がつるしてあった、自分が「ほーーーう、珍しい大きな魚の干物やなー。」と言うと、店のおばさんが、
 
「北海道の小樽渡りの上物です。」という、自分が「おばさん、いくらかいな。」と聞くと、おばさん、そろばんで、
 
パチパチとはじいて、見せてくれた。少し、値段が高かったのであったが、身体検査に合格した、気分の良いの
 
も手伝って、1尾丸ごと衝動買いをしてしまった。
 
 自宅に戻って、母に報告すると、布団の中で、喜んでくれた。
 
井戸端で、まな板を置いて、鮭の背から、包丁で切れ目を入れて、二枚におろして、骨のついていない方の
 
片身を、新聞紙にくるんで、不在中、母が世話になった、山口のおじさん宅に、持っていったのであった。
 
山口のおじさんから、「校長先生のこぼんさん、身体検査が合格して良かったですなーー。」と、言われたの
 
であるが、自分が、「後、1週間程度したら、学科試験が始まるのです。又、ご迷惑をおかけしますがーー。」と、
 
話しをすると、山口のおじさんが、「近所だから、気にせんとき。」と、親切に話しをいただいたのであった。
 
  自宅に帰って、もう夕方である。 井戸端で、骨の付いた塩鮭を、上から、骨ごと切っていき、炭をおこして
 
金網を置いて、塩鮭を焼いたのであった。
 
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  干物の塩鮭であるが、良いにおいがして、白い油が、身からしみ出てきて、おいしそうである。 
 
 そうこうしているうちに、父が学校から帰ってきて、庭で、「父さん、身体検査は、だいじょうぶやった。」と、
 
報告すると、「そうか、いよいよ学科だな、ーーー。」と、心配そうな顔をして、居間に入っていった。
 
父は、居間で服を着替えて、土間で、一緒に夕食の準備をしながら、宿屋の猪鍋のお話とか、楽しそうに話
 
したのを記憶している。
 
【次回に続く。】