第219回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

218話  奈良の数学1の入試試験の事                  2012年9月16日日曜日の投稿です。
 
  講堂に到着すると、思わず、「なんちゅーか、すごい人数やのう。」と叫んでしまった。
 
まだ、少し早く来たので、そんなにならばなくても良いかと考えていたのであったが、ずいぶんとならんでいた。
 
受付が、始まり、どんどんと列は、進んでいき、美津雄の番になった。
 
 「奈良県立畝傍中学卒業 淵田美津雄であります。」と、申告すると、当番の兵士は、顔を見ずに、「次、--・」
 
と、言う感じで、列が進んでいった。
 
講堂に入ると、別の机があって、そこで写真と受験者を確認しているようであった。
 
 ここでは、さすがに40分程度待たされた。
 
「遅いのーなにをやつとんかいのー。」と、イライラしながら、前を見ると、どこかで見たような、小太りのメガネ
 
ツラの兵士であった。
 
よく見ると、畝傍中学に3月の校内軍事演習の時、安藤大尉と一緒に来ていた、玉井上等兵であった。
 
しばらくして、美津雄の番になり、「奈良県立畝傍中学卒業 淵田美津雄であります。」と申告すると、
 
「よし、おまえの受験番号はーーーーーー。」と、数分捜して、後の方の用紙に、1020番と番号があり、
 
「1020番や、次。」と言われて、試験会場の方に移動したのであるが、浪人組は後の方の番号らしい。
 
いちいち、玉井上等兵も、自分の事を覚えていないらしい。
 
  しかしーー、すごい人数である。 この中で、2、3人しか、合格者が出ないのであるからして、すごい競争率
 
であった。
 
やっと、木造建物の自分の番号のある、机にたどり着き、椅子に座って、一息ついたのであった。
 
  【次回に続く。】