第233話 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第222話 大正10年5月7日の昼の出来事 2012年9月30日 日曜日の投稿です。
数学の試験で、最後の問題が、初めての形式の問題で、出来るだけのことをしたのであるが、確実に、解答
出来たか、不安であったが、ほぼ間違いないであろうという、作図をして、記入した。
そのうち、時間が来て、教卓の試験官が、「全員、えんぴつを置くように。試験終了、全員前に提出して、退席
せよ。」と、号令がかかったのであった。
仕方なく、鉛筆を置いて、解答用紙を出したのであったが、たった5問の問題であったが、2時間半、あっという間
に、時間が過ぎていったのであった。
試験会場を出て、広々とした広島城内に出た、もう12時前だ、お昼の時間で、腹が空いてきた、持参した弁当を
食べたいところであるが、ふと見ると、植木の植え込みのすぐそばで、修道中学の生徒数名が、弁当を広げて、
食べていたので、自分も、その辺でと思い、座ろうとしたところ、試験で緊張していたのか、手洗いに行きたくなった。
元の建物に戻り、すれ違いの兵士に、手洗いを聞いたところ、「便所は、ここの廊下をずーーと、まっすぐ行って、
スノコが引いてある、土間の向こう側だ。」と教えてもらって、手洗いを済ませて、弁当を食べようと、もとの植え込
みの近くに、弁当を食べようと行ってみると、修道中学の生徒が、5人ほど、不動の姿勢で、立てららされて、陸軍
の兵士、数名に、怒鳴り散らされていた。
はて、あの連中、何をやらかしたのかと、少し離れて、通りすがりに聞いていると、どうも。こんな場所で、弁当
などは食べてはいけなかったようであった。
危ないところであった。 しばらく行って、年が同じ程度の二等兵が立っていたので、聞いたところ、兵舎の
食堂に行ってみてはどうかと言われ、指をさして、あそこの建物だという、
少し歩いて移動すると、炊事係の、下士官がいたので、聞いてみると、「あーー、おまえたちは、あの隅の、
あそこの場所で、食べてくれ。」と、指示を受けて、そこで、一服することになった。
下宿のおばちゃんが作ってくれた、弁当をあけたのであった。
牛肉に、砂糖と醤油を加えて、煮詰めた美味しそうな、弁当であった。
一緒に入れてある、キュウリの漬け物、大根の漬け物も、美味しい。
水筒のお茶をついで、パクパク食べていると、例の先ほどの、怒られていた連中が、
建物の中に入ってきた、近くに来て、「同席してもよろしいですか。」と言うので、「どうぞ。」
と、返事をすると、「いやーー、まいった、今日はついとらんのー。」と一人が言い出して、
「ワシは、5問目の問題、ようわからんかったけー、たぶんだめじゃこりゃ。」と、弱気なことを言う
黙って聞いていると、「わりゃ、おまーが、あそこで弁当たべよーやー言うけえ、こぎゃーなややこ
しいことになってから。」と一人に向かって、斜め前の席の生徒が言うと、「おみゃーも、ここが
ええのーいうけえ、弁当広げたんじゃろうが。」と、口げんかを始めたのであった。
【次回に続く。】