第248回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第247話  大正10年5月7日午後の数学2の合否発表の事、     2012年10月15日 月曜日の投稿です。
 
 歩兵第38連隊の正門付近の掲示板の所に行くと、ずいぶんと生徒がたむろして、大勢が集まっていた。
 
自分も、その中に入って、しばらく待つことにしたのであったが、すると陸軍の兵士と海軍の将校が、こちらに歩い
 
てきて、合否の発表の紙を貼り出したのであった。  
 
 しばらく、掲示板に近寄れないほどの、混み具合で、10分程度であったか、近くで立って待っていたのであった。
 
兵士が、最後の紙を貼り付けたので、そちらの方を見に行くと、最後の紙は、浪人組の番号が千番台の受験番号が
 
記載されていて、1020番の番号があったのであったが、一番最後に番号が記載されていたのであった。
 
  「はぁーーー、やれやれやのう。」と、思わず独り言を言い、次の英語の試験会場の建物に、歩いていったの
 
であった。
 
しかし、物差しを忘れてきたので、作図が、だめかと心配していたのであるが、線の下に、計算した数値を書いて
 
いたので、よかったのかもしれんと、1人で、胸をなで下ろしたのであった。
 
  英語の試験会場の木造の建物に入ると、机が置いてあって、受付をするようになっていたのであった。
 
 
イメージ 1
 
 
  「受験番号 1020番 奈良畝傍中学卒業 淵田美津雄 入ります。」と、挨拶をすると、陸軍の丸メガネを
 
かけた兵士が、表から番号を捜して、ずうーーと見ていたのであるが、最後に、1020番を見つけ、「良し、入って
 
良し。」と、許可を得て、入室したのであったが、どうやら、奈良県の浪人受験者は、自分を残して、全滅のようで
 
あった。
 
  番号札の貼ってある、机を捜したのであるが、一番最後の1番後に机があり、「やれやれ、ビリケツやがなー。」
 
と、独り言を言ったことを記憶している。
 
 
【次回に続く。】