第249回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第248話  大正10年5月7日 英語の入試試験の事             2012年10月16日火曜日投稿です。
 
 1番後の隅の席に着席して、ふぅーーと、深呼吸をした。 昨年の8月は、この英語の試験で失敗して、浪人
 
したわけであるが、まぶたを閉じると、冬の寒い朝方を、新聞を配って歩いていた苦労が、目に浮かんだのであった。
 
今年は、絶対に、合格するんやと、決意を新たにして、試験会場の机で、座っていた、しかし、数学の2で、ずい
 
ぶんと、競争相手が、脱落したのか、人数が少なくなった。
 
  何人かと言われると、人のことまで心配する余裕が無かったので、覚えていないが、もうすぐ、13時、45分
 
である。
 
   しばらくしていると、海軍の将校と、陸軍の腕章をつけた兵士が、入って来た。
 
教卓の所に立った、海軍将校は、「全員 起立。」と、大声で叫ぶと、全員起立したのであった。
 
「よいか、これから、海軍兵学校52期の英語の入学試験を行う、全員、悔いの無いように、がんばるように。」
 
「着席。」と、叫ぶと、全員着席したのであった。
 
  黒板に、 英語の試験 下のごとし。
 
          14時から16時の2時間
 
          17時に合格発表
 
          合格者は、明日の午前中の物理、化学  午後の国語、漢文 の試験準備
 
   と、竹を割ったような、鋭い字で、手早く書いたのであった。
 
「いいか、全員よく見ろ、 よし、そこの前の生徒、大声で、黒板の字を読んで見ろ。」
 
と、1人の生徒を指名したのであった。
 
  前の席の生徒は、大声で黒板の字を、読み上げたのであつた。
 
海軍将校は、「よし、これから、解答用紙を配布する。」と言うと、陸軍の白い試験係と腕章をつけた兵士が、
 
前の席に答案を配布しだしたのであった。
 
 
【次回に続く。】