第273回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第272話 化学、物理の入学試験の終了の事 2012年11月9日 金曜日の投稿です。
試験官が、「全員筆記用具をおくように。」と、号令を出したのであった。
第5問目が、心配であったのであったが、仕方なしに、前に持っていって、提出したのであった。
筆記用具をかたずけて、時計を見ると、11時過ぎであった。
そのまま会場を出て、兵員食堂に行ったのであった。
周囲の生徒は、一学年下の生徒ばかりで、顔なじみもいなくて、みんな自分の事が精一杯のようで、言葉も少
なかった。
試験も、3日目である。 ずっしりと疲れが出てくるのであった。
まだ3日目で、5日連続の試験なので、まだまだ続くのであったが、午後からの試験を受けられればよいので
あるがーー。
旅館の女将の作ってくれた、弁当箱を開けて、少し早いお昼をいただいたのであった。
水筒の蓋を開けて、兵員食堂の机の上に置いてある、湯飲みを借りて、とくとくと、お茶をついだのであった。
ほおーー、うまそうやのーー、レンコンと、豆の混ぜご飯に、卵焼きまでついとるがなーー
女の人が作る弁当は、美味しいナーーと、ニコニコしながらいただいていると、
炊事場のほうから、例の、軍曹が、トコトコと、歩いてきて、「葛城の校長先生のぼんさん、
運動会の弁当のように、豪華やのー。」と、ほめてくれるので、 「あそこの宿の女将3には、朝早
くから、起きて、弁当を作ってもらって。感謝しています。」と、言うと、「 陸軍では、こう言う
弁当は、 禁止になっとってな、 軍人は質素を尊ぶべし、なんて、言うてな、 大根はぶつ切り、
大ざっばな、食事ばかりやで、うらやましい。」といって、元の炊事場に戻っていったのであった。
昼ご飯を食べながら、物理、化学の試験、だいじょうぶかいなと、心配したのであった。
【次回に続く。】