第316回 昭和の伝道師【戦中戦後のパイロットの物語】

第315話  大正10年5月10日の朝の出来事         2012年12月22日 土曜日の投稿です。
 
 
 
   場所は変わって、大正10年5月10日の朝を迎えた、広島市内の源田實の下宿先では、早朝より、
 
 色々と大変であった。
 
   昨日、夕方から、新しい下着を買いに行き、口頭面接試験に備えて、学生服も、きれいに洗って
 
 干していたのだが、夜半より、雨が降り出して、 良く乾いていなかったのであった。
 
 
    物事、頭で考えた、予定通り行かない物である。
 
 
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                        【大正当時の  呉服店の様子、】
 
         「しもうたーー、制服が、かわいとらんわーー。」と言うと、
 
         「夜に雨が降ったけいねー、こまったわねーー。」といって、仕方がないので、下宿の
 
         おばさんが、別の学生服を出してきて、シワを伸ばして、アイロンをかけ出したのであった。
 
 
 
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           現在の、アイロンという物は、電気コードを差し込んで、霧吹きで水を散布して
 
          アイロンをかけるのであるが、 当時は、お湯を沸かして、アイロンの中に湯を
 
          入れて、衣服のシワを伸ばして行く物であった。
 
           朝食を食べていて、学生服が汚れてはいけないので、 朝食を食べたあと、
 
           下宿のおばちゃんがアイロンをかけてくれて、まだ、暖かい学生服を着込んで、
 
            学生帽をかぶったのであった。
 
            下宿のおばさんに、「 實君、がんばってきーーね。」と、言われて、
 
            「ほんなら、いってくるけー。」と、挨拶して、下宿を出発したのであった。
 
 
 
【次回に続く。】