第544回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第543話 海軍手信号法の授業の事 2013年8月18日 日曜日の投稿です。
私の前の福本義則生徒が教官に、着席を許可され、着席をすると。
授業はどんどんと進んでいったのであった。
教官が、ひとつひとつ、手信号というのを紹介して行くのであるが、1度に、
覚えてしまうのは困難であるが、 当時は、授業で、すぐ暗記して、体を動かして、
表現すると言うことが、私達に求められたのであった。
つまり、詰め込み教育である。 出来ない生徒は、落ちこぼれて言ったのであった。
教官が、「 あーーーーー、井上生徒、 副長という 手信号をやってみせよ。」と、
私を飛ばして、後の後任の井上生徒に、質問するので、どうも、私は一番最後まで、
起立していないといけないようである。
井上武男生徒は、「 はっ、 副長という合図は、左手をへその上に持っていき
まして、こうであります。」と、やってみせると、教官は、「 よし、 井上生徒は、着席
してよろしい。」と、許可を出し、井上君は、着席したのであった。
教官は、「 全員、ページを1枚はぐれ。」と指示を出すと、 次のページの、
次々あてて、授業は、つぎつぎ進んでいくのであった。
最後の席順の松本生徒に、 「中央の手信号の実演をせよ。」と、教官が言うと、
松本生徒は、 指をたてて、「 こうであります。」と、 実演してみせると、教官は、
「 よし、 着席してよろしい。」と指示を出し、 立っているのは、私だけになった
のであった。
しばらく、授業が続き、教卓の前から、私を見ると、「 淵田生徒、 本日授業で、
教えた手信号、初めから一通り、やって見せてみよ。」と、教官が指示するので、
までの、合図をしてみたのであるが、次がわからず、起立したまま、考えていると、
「 どうした、そんなことでは、海の上での仕事は勤まらんぞ。」と、教官に一喝され、
周囲のみんなが、私をじろじろと見る物だから、私は、またまた、ゆでだこの様に
赤くなってしまったのであった。
【次回に続く。】