第552回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第551話 海軍兵学校、 赤帽の事。 2013年8月26日 月曜日の投稿です。
私達は、海軍体操をして、体をほぐすと、 教官の「 全員 整列。」と言う号令で、
整列したのです。
教官は、私達を見渡すと、「 全員注目、 貴様らは、日本全国いろんな所から、
この海軍兵学校に、 入学してきたわけであるが、 地理的に、近くに海がない地域、
川がない地域に、居住していて、泳ぎが得意でないという生徒は、けっして、恥ずか
しいことではないので、これより、前に整列せよ、前に出ないと、 泳ぎが得意と言う
ことで、みんな、あそこを見ろ、 あんな遠くまで、本日は、遠泳する予定である、隠
していると、 沈むことになるわけである。」と、 言うと、 そうーーー、ざっと、
50人くらいでありましょうか、 どんどんと、前に、生徒が進んで出たのです。
教官は、 それらの生徒を一望すると、「 よし、 これから、監事附が、水泳帽を
配布する。 この水泳帽は、 大日本帝国の水泳帽なので、 海でなくさないように。」
と、話をすると、赤い色の水泳帽の配布が始まったのです。
みんな、赤い目立つ、水泳帽をかぶらされ、 おやっと、見渡すと、 小池君の
姿もあったのです。
山中の奈良県の出身なので、仕方がないのですが、私は、彼の赤色水泳帽を見て、
なんだか、いつも年下の彼の方が、学問が良く出来るので、私は、少しは、優越感に
浸ったのです。
すると、教官が、「 今日は、貴様らには、江田島の海水になれてもらう、 全員、
回れーー左、 海面に向かって、突撃開始、 駆け足、急げーー。」と、号令が
かかると、 私達は、駆け足で、暑い江田内の海の中に、入って行ったのです。
私達は、 幼児のような、笑い顔を浮かべて、海水に突撃し、眠そうな、後任の井上
武男生徒も、 目がさえたようで、 生徒は、次々、海水に入って行ったのです。
【次回に続く。】