第825回 昭和の伝道師【戦中戦後のパイロットの物語】

第824話  海軍兵学校 水上機動兵団の事。    2013年5月26日 月曜日の投稿です。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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    私達をのせた鉄道は、 瀬野川停車場から、山陽本線を、上り坂をグイグイと登りまして、
 
   西条方向に東に進んでいたのでありました。
 
     聞いてみますと、 私の前に立っていた、同じクラス【学年】の黒田 吉郎生徒も、一浪して、
 
    明治35年生まれの虎年ときいて、 私は、自分の連れ添いが増えたと思い、大変喜んだの
 
    です。
 
    みなさんは、経験がないかも知れませんが、浪人して、 年下の学年に入りますと、そうでもない
 
    ささいな言葉が、心に突き刺さると言いますか、 同じ年の上級生に、軽く見られると言いますか、
 
    大変いやな思いをするのです。
 
    そこに来て、 同じ52期のクラス【学年】で、黒田 吉郎生徒が、同じ年と言う事がわかり、随分
 
    道連れが出来たと感じて嬉しかったわけです。
 
 
 
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       【 当時の広島県 尾道駅  当時港と、造船所が栄え、物流の拠点であった。】
 
 
 
    先日紹介した 扇 一登生徒は、 広島県 尾道市尾道駅から、北に、2時間程度、
 
    入ったところの、当時は世羅郡甲山町三川村と呼ばれていた地域の出身で、黒田 吉郎
 
    生徒は、そこから、さらに1時間程度、北に上がった、 山間の盆地に、川が流れていまして、
 
         その川のそばに、 吉舎町という町があり、日彰館中学という学校がありまして、そこの
 
    卒業生でありました。
 
 
 
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     私と一緒で、海などはなく、 海で泳ごうにも、泳げないわけでして、赤帽も仕方がないの
 
     でありました。
 
 
 
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     鉄道の客車の中で、 これから先、 軍縮で、軍艦が減らされ、人員が整理され、
 
     多くの将校、佐官が、整理の対象となり、予備役になる事が予想され、兵学校を出て、
 
     海軍の中で、どのような事に取り組んでいくのかと言う事が、話題になったのです。 
 
     となりの席の小池君は、 大型艦の建造が規制されると、艦艇が、小型化していき、
 
     潜水艦の時代が到来するのではないかと言い、 扇生徒は、 語学を勉強して、 
 
     駐在武官として、外国の大使館に赴任して、見識を広めるのが良いのではないと、
 
 
 
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         【水上機動兵力の重要性を力説した、 安田 義達 海軍中尉 のちの海軍中将
 
 
         海兵46期卒   広島県府中市出身 】   
 
 
 
     そんなお話をされたのですが、 安田  義達 海軍中尉殿は、その話を腕組みして、静かに
 
      聞かれていたのですが、最後に、 「これからは、水上機動兵力が大切になる
 
      時代が必ずや到来する。」と、私達の前で、お話をされたのです。     
   
 
      はてーーーー、私は、兵学校の教科書にも出てこない、水上機動兵力とは、
 
      なんやろかと思い、 小池君や、他の生徒と、安田海軍中尉のお話を聞いたのでした。
 
 
 
【次回に続く。】