第984回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第983話 海軍6式炊飯法のお話のこと。        2014年11月1日 土曜日の投稿です。
 
 
 
 
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   奇数番号の中にいた私達は、宮島の包ヶ浦の砂浜で、 夕食の準備を始めることになったの
 
 ですが、 1から指導があったのです。
 
 当時、「6年式、6年式。」と、私達は呼んでいたのですが、飯盒の炊き方にも、決まりがあったのです。
 
 つまり、 1人頭、 1日いくらくらいの費用で、 米が何グラム、 麦が何グラムと、決まっていて、
 
 どんぶりで、物事を進めていく事は、禁止されていたのです。
 
 
 
 
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       1日の1回の食事の必要量を規定することによって、 全体の部隊の必要量を算出し、
 
       そして、補給物資の補給をしていたのです。
 
       これをあいまいにして、 いい加減なことをしていると、 最後に余るのは良いですが、
 
       たりなくなると、 食べれない人が出て来るのです。
 
 
 
 
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           当時、基本的には、 一人当たり、 白米が、360グラム、 麦が120グラム
 
           という、規定がありまして、 どうして、麦を入れていたかというと、 かっけという
 
           病気の予防のために、麦を入れていたのです。
 
           「人間、 米と、味噌と、漬け物があれば、3年はーーー云々。」という、お話は、
 
           海軍兵学校に入校しまして、 デタラメであると、 わかったのです。
 
            人間、 白米だけ食べていると、 かっけという病気になり、 いずれ死に至る
 
            わけです。
 
            
            古田中 監事殿が、「 全員、注目、 これより。糧食の補給の準備実習を
 
            開始するのであるが、 上手になる事にこしたことはないが、専門家になる
 
            必要はない、 こう言う事は、下士官、兵に任せてしまえばよいのであるが、
 
             将校になった場合、 これらの作業をする、下士官、兵を統帥するにあたり、
 
             まったく作業内容を知らないというのでは、上役として話にならん。
 
             そういうわけで、本日はこれから、炊飯の実習を行う。
 
             明治以来、我が帝国海軍は、いろんな事を試し、失敗を繰り返し、戦訓を参考
 
             に、試行錯誤を経て、 現在の1日当たりの栄養数値というのを算出し、
 
             
 
 
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           1日当たりの、一人分の栄養量、 一食当たりの必要数量を算出し、工夫した
 
           食料の数量がはじきだされておる。
 
           そういうわけで、 本日は、まず、 それぞれの飯盒に入れる、白米と、麦の
 
           計量より実習を開始する。」 と、 お話がありまして、 私達は、6年式炊飯の
 
           実習をすることになったのです。
 
 
 
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           私が、故郷の奈良の葛城村で、 御飯を炊いていて、 こうしたら、美味しいとか、
 
           色々知っていても、 そういうことは、 発言したり、 一人だけ、 分隊の周囲
 
           の人だけにお話しして、 楽しむと言う事は、当時の軍隊の中では、許されなかった
 
           のです。
 
           水を飲むことも、食べる事も、又、その内容についても、 決まりがあり、 集団行動
 
            協調性と言う事を、当時の軍隊では求められていたのです。
 
 
 
 
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      戦後の会社組織でもそうですが、 いくら大砲を撃つのが上手でも、戦闘機を飛ばすのが
 
      上手でも、 全体の決まりを守らなかったり、勝手な行動をとる人間は、 組織として
 
      不要でありまして、 一人で、スタンドプレーを勝手に行う人間は、 軍隊として、全体の
 
      統率を乱し、作戦行動に支障をきたし、 組織内では、 軽蔑されていったのです。
 
       そういうわけで、 決められた枠の中で、 周囲と協調を保ち、要領よくしていく、
 
       これが、軍隊の中では、大切な事でありました。 
 
       
 
【次回に続く。】