第1038回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第1037話  海軍飛行パイロットの視力の事。    2014年12月25日 木曜日の投稿です。
 
 
 
 
 
 
 
 
         
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           近年の自分が退官した後に導入された、航空自衛隊のF4EJ戦闘機などは、
 
          機首にレーダーが装備され、 自分が現役時の当時のように相手を視認して、
 
          ドックファイトするよりも、 長距離から相手の視認できない位置からの空対空
 
          ミサイルの発射をするという戦法に変化してきており、 航空機の電子機器の
 
          精度の良し悪しが、パイロットの生死を分けていく時代になっているのですが、
 
 
 
 
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        自分が操縦幹を握っている当時は、 相手をいち早く見つけて、自分の機体を有利な
 
       位置に移動して、戦う事が唯一の生き残る道であったのです。
 
       航空機でドックファイトを経験したことのない人にはわからないと思いますが、 雲の
 
       隙間の黒い米粒が、 一瞬で近くに飛んできて、 通り過ぎていくのです。
 
       それはなぜかというと、 こちらも高速で飛行し、 相手もほぼ同様の速度で飛行して
 
       いますので、 一瞬で通り過ぎてしまうのです。
 
 
 
 
 
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         戦闘機で攻撃をかける時の有利な位置というのは、目標より上空を飛行し、
 
         相手の後に、または、斜め後方の上空に、自分の機体を持っていき、急降下して
 
         スピードに乗って降下して、一瞬のチャンスに、 相手が進むであろう位置を予測
 
         して、射撃をするわけです。
 
         つまり、 照準機のセンターに相手を持って来て、操縦幹のボタンを押すというのは
 
         デタラメの射撃経験のない人の空想話で、 こちらも高速で動き、相手も動くわけです。
 
         そして、発射しても、 弾頭が飛んでいく時間、 そして弾頭がたれると呼んでいたの
 
         ですが、 発射した弾頭も、 まっすぐには飛んでいかないのです。
 
         大空という所は、 ここが地上の戦闘との大きな違いです。
 
 
 
 
 
 
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         元の話に戻りますが、ほんの数秒、相手を発見するのが遅れたために、命を落とした
 
         飛行兵も、大変に多かったのです。
 
         雲の隙間の、米粒の小さな点をいち早く見つけて、 上昇し、 優位な位置に機体を
 
         持っていくのですが、 そのためには、日ごろからの視力の鍛錬が必要だったのです。
 
 
 
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         ところで、人間の目というのは二つあるのですが、 よく就寝時の前に本を見て、
 
         眠くなったら、寝るという人も多いのですが、横に寝て、左右どちらかに、頭を
 
         横にして、本を見ると言うのは、研究して見ると、 そういうことをしていると、
 
         その先どうなるかというと、なぜか、半年程度すると、右目の視力と、左目の視力
 
         が、大きく違う現象、つまり極端な話、右が0,2  左が07 と言うように、 チンバ
 
         になっていくのです。
 
         こういう事になりますと、 深視力という物が狂い、 感覚がおかしくなっていくのです。
 
         
 
 
 
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      海軍の航空隊では、時間があるときには、機体の近くで横になり空を見つめて、
 
      視力の訓練をしていたのですが、 頭を横にして、横に物を見るのは、禁止になって
 
      いたのです。
 
      そう言うわけで、 みなさんもこの文章を読まれた後は、 寝間で、横になって、本を
 
      見ると言うのは、目のために良くないことですので、 今後はそういうことを控えていただくと
 
      良いと思うのであります。
 
 
 
      【次回に続く。】