第1043回 昭和の伝道師【戦中戦後のパイロットの物語】
第1042話 海軍式計算暗記方法の事。 2014年12月30日火曜日の投稿です。
日本海軍では、数学には特にうるさく、 役に立たない数学をするのでなくして、
実際、使用して用にたつ数学を訓練したのです。
訓練というのは、 そろばんもなにも無しで、 足し算、引き算、かけ算、わり算
を頭の中で行うのです。
特によく使用していたのが、 速度、距離、 時間の計算でありました。
飛行機で空を飛んでいて、 手計算や、そろばんを使うわけにはいかない
ですし,当時は戦後の電子計算機もなかったのです。
速さ は、 距離 ÷ 時間
時間 は、 距離 ÷ 速さ
距離 は、 時間 × 速さ
ですが、 この公式を暗記して、 数字を代入して、頭の中で計算し
すぐ解答が出来ないと落第でありました。
また、順番紹介しますが、夜空の星の位置から、 自分が現在どこにいるのか
と言う事を計算して出す方法や、 いろんな実務的な数学を紹介して行きますが、
これらを、 暗記して、 実際 実務に使用して行くというのは、大変であったのです。
そこで、各自が覚えやすいように、工夫していくことが求められたのですが、
自分は、数字、公式については、単文を作りまして、短い文章にして覚えるのです。
例えば、先に紹介した、距離や、速度や、時間の公式については、 「お はじき
ききじぃ じすいはん。」と、覚えるわけです。
戦後の現在、 歴史の年号などは,この方式で覚える人が多いと思いますが、
「 1543年 鉄砲が種子島に伝来した。」 という事を覚えるのは、
「いご よさんが かかる。」 と暗記しておくと、忘れず、長く覚えることが出来ます。
「 538年 仏教が我国に伝来した。」 という事を覚えるのは、「 ごみや。」
と覚えておきますと、 忘れることはありません。
海軍では、 一瞬で目標を視認して、 約どのくらいの数かというのを把握する
訓練が盛んでした。
全部を1、2、3 と、数えるのでなくして、 縦 横の数をざつと頭に入れると、
縦の数字、掛ける横の数字で、おおよその目標の数を出すわけです。
それから、人の顔を覚える訓練があって、 この訓練は戦後も随分役に立っております。
海軍士官たる者、 部下の顔と姓名と階級を知らんでは、通らないわけです。
戦艦の艦長などは,乗組員が1500名程度になるので、全員は覚えられないのですが、
極力、 把握するよう指導があったのです。
特徴のある人は覚えやすいのですが、 この人の顔は、 動物に見立てて覚えたり、
この人の耳は、耳たぶが大きいと覚えたり、 この人はおでこにシワが多いので、
サルによく似ているとか、ケースバイケースですが、 随分練習をしました。
見て、 どんな名前か、 年齢、職業等々を、一瞬で特徴をとらえて覚えるのです。
極端な話、 この人は 牛の顔に似ているとか、 そう言う感じで、顔と名前を覚えるの
です。
○○県の県会議員です。 △×市の市会議員です。 という先生方は、比較的
覚えやすいのですが、 民間の一般の人などは、 特に、 佐藤とか、 斉藤とか
と言う名字、 それから、鈴木とか、 山田とか、 言う名字は、関東地方では
多いので、覚えるのが大変です。
これらの人と、出先でお会いして、「 えーーーーーーっと、どちらさまでしたか。」
などと言うようでは、その時はそうでなくても、 相手に不快感を与え、 票が減る
ことになっていくわけです。
そう言うわけで、良く覚えておいて、こちらから、「 いついつは、どうも、ご訪問いた
だきまして。」と、 自分から声をかけるようにしていく、 そうすると、次回の選挙の
1票につながるわけです。
「 人の目をよく見て会話し、 特徴を短時間覚え、名前 職業,などを
暗記する。」 こう言う事が大切です。
【次回に続く。】