第1088回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第1087話 「我出遅れたり。」の事。          2015年2月13日 金曜日の投稿です。






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     しばらくすると、 監事の古田中 海軍大尉殿から、お話があった後、 パイロットの


   宮崎 重敏 海軍少尉殿から、自己紹介と、 飛行艇の説明があったのです。




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      「  高知一中卒、 海軍兵学校 第46期卒 海軍少尉 宮崎 重敏 。」と、大声で


       挨拶があった後、 「  この飛行艇は、英国の ビッカース社の飛行艇で、 バイキング


       飛行艇と名称がついておってーーーーーー云々。」 と、 説明があったのです。





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               【   輸入当初の 戦艦  金剛  ビッカース社建造  】 



     自分は、 「ほうーーーーー、 ビッカースと言えば、戦艦の金剛の建造元で、 飛行艇


     造りょうるんか、たいしたもんじゃのう。」と、 こんな事を考えていたのですが、

     宮崎 海軍少尉殿のお話を聞きながら、 「  うーーーーーん、 あと10年したら、

     駆逐艦や、巡洋艦も、 大きな発動機を備えて、 翼がついて、 空を飛ぶ時代が来るかも
    
     

     しれんのう。」 と、 こんな事を当時考えたのです。

     




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      ボートのサイズの 飛行艇が、 水上を走って、翼で揚力を得て、 空を飛ぶのであります

      から、 原理は一緒で、 駆逐艦や、他の艦艇も、 発動機と、翼を備えると、 空を飛んでも


      おかしくないわけです。




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        【   江田島に飛来した ビッカース社のバイキング飛行艇   霞ヶ浦にて撮影 】





      
      宮崎 海軍少尉のお話が終わると、 古田中 監事殿が、 前に進み出て、「 おほん。」


      と、1度咳をした後、「  本日は、 飛行艇の編隊も、次に呉に転進する予定があるので

      あるが、 少し時間を取って、 30分程度 体験飛行をすることになっておる。

      ついては、 搭乗を希望する者は挙手をせよ。」 と、 こんなお話があると同時に、自分を

      含めて、多くの生徒が、手を上げたのです。

      何人いたかわからない程度、多くの生徒が挙手をしたのです。


      古田中 監事殿は、 想像以上に挙手があったので、どうしたものかと一瞬考えたようで

      この生徒にすれば、他の生徒の手前もありーーーー、 数十秒して、思いついたような


       顔をされて、「  おい、 背の高い、貴様、 貴様が、そういえば1番早かった、前に出て

       こい。」 と、 淵田 美津雄 生徒を指名されたのでありました。

       確かに、誰よりも早く手を上げて、志願したのはみんなの知る所であり、苦情が出ない

       存在であったのですが、 自分は、「 しもうたことをしたのうーー、 飛行艇に、乗り損

       ねたのうーー。」と、 歯をかみしめたのです。

        負けず嫌いの自分は、 無言のまま、 前に進みでた淵田美津雄生徒を見つめて、 

        後悔したのでありました。




        【次回に続く。】