第1089回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第1088話 初めての飛行艇遊覧の事。 2015年2月14日 土曜日の投稿です。
古田中 監事殿は、「 全員、きょうつけい。」 と、大声で号令をかけると、「 全員、注目。」
と、大声で叫んで、淵田 美津雄 生徒を、 じっと見据えて、こんな事をお話になったのです。
「 淵田生徒、 1度飛んで 墜落したら、2度と御天道様を御がめんかもしれんぞ、 それでも
志願するか。」 と,ドスのきいた声で、問われたのであります。
淵田 美津雄 氏 は、当時は、 緊張した顔つきで、 「 見敵 必戦の精神で空を飛んで
まいります。」 と、 こんな話のやりとりがあって、 最後に、 古田中 監事殿が、「 もう
みんなには、2度とあえぬかもしれんぞ、 よく挨拶していけ、 いいか、 落ちるときは、海に
落ちるようにしろ、 地面に落ちるよりは水面の方がよい。」 と、こんなお話がありまして、
これより、飛行艇に搭乗して空を飛んでまいります、同期のみなさん、 色々お世話になり
ました。
もし何かありましたら、 一足先に、靖国神社でお待ちしております。」 と、 こんな
移動したのです。
負けず嫌いの自分は、「 ふん、 おおげさな芝居をするもんじゃのう、 おしいことを
したのう、 長蛇を逸したのう。」 と、こんな事を考えて、心の中で悔しい思いをしたのです。
歴史的な出来事に、自分は乗りそこねたのでした。
【 大正11年当時の 淵田 美津雄氏 】
自分と志を同じくする,航空兵力の信奉者が搭乗するのならまだしも、 日頃、大艦
巨砲主義の信奉者で、 何事も、戦艦、戦艦 と、話をしている淵田生徒が、飛行艇に
搭乗するとは、 「 おーーどくさーーのーー、 目立とう精神のこのぼんくらがーーー。」と、
当時は思ったのです。
実際、 自分が空を飛べるのは、なかなか希望が叶わず、紆余曲折を経て、8年後に
なるのでした。
【次回に続く。】