第1243回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第1242話 関東大震災 今村 均 陸軍少佐の事。2015年7月27日月曜日の投稿です。
大将は、 上原元帥の副官の 今村 均 陸軍少佐と一緒に陸軍省を訪れ、
遷都計画を申し入れたのです。
「 けっ、けいじょう【京城】。」 と、みけんにシワを寄せて、田中
陸軍大臣は難色を示したのです。
すてて、 朝鮮半島に遷都しようなどと言うことを、 内閣に申し入れるという
話に抵抗を感じたのです。
その根拠は。」と 問いただしたのです。
河合 陸軍参謀総長は、「 詳細は、 この今村が説明申し上げる。」と言うと
後に控えていた、今村少佐は、 地図を広げ、 田中 陸軍大臣、 白川陸軍
次官に説明を始めたのです。
【 今村 均 陸軍少佐 】
話を要約すると、 上原元帥の命令で、 水害、地震、台風などの災害が
少なく、ある程度平野があり、首都機能の移転可能な地域を 陸軍参謀
本部の参謀が研究したところ、 第1の候補地として、 京城の竜山付近、
云々と その候補地に至った経過の説明が詳細にあったのです。
として内閣に 我輩が奏上しよう、がっ、 大杉 栄の事件については、
極力、 元帥の意向を尊重するが、 実行部隊の甘糟だけで、事件が
治まらぬ場合、 小山、 そして さらに それでも収拾がつかぬ場合は
小泉 に 腹を切ってもらうようになるやも知れぬ、 なるべくそうならぬ
ように、 我輩も 手を打つつもりであるとお伝えください。」と、語り、
河合参謀総長と、 今村 陸軍少佐を 部屋から送り出したのです。
【 当時の陸軍次官 白川 義則 陸軍中将 】
黙って静かに話を聞いていた 白川陸軍次官が、「 閣下、京城への遷都
など約束されて どうされるおつもりですか。」と、問うと、田中 陸軍大臣は、
「 なに、そんな話、内閣に出しても潰れるに決まっておる、よって、話を
このまま長時間聞いても時間の無駄と思い、 了承して、早期にお帰り
願ったまでの事である、 考えてもみよ、日清、日露の戦争で、大本営が
置かれた 広島や、 以前 都であった、京都や、奈良ならともかく、
そして、そのような遷都にかかる 費用など、大蔵省の国庫には現在
残っておらぬし、 閣僚も反対するに決まっている。 ところで白川、
あの 今村とか言う、少佐は何者か。」と 問うと、 白川 陸軍次官は、
「 はっ、閣下、 東條の 一期後輩の陸軍士官学校の19期卒の 陸軍
入りし、現在 上原元帥の 副官を務め、相当なやり手の男だそうです。
聞いたところでは、陸軍大学で 居眠りをしていても、成績はダントツ1番で
他の佐官や、尉官でかなう者がいない程度の頭脳の持ち主だそうで
あります。」 と、説明すると、 田中 陸軍大臣は、「 あの工兵オヤジの
遷都計画は、数日後、内閣総理大臣の山本 権兵衛 海軍大将に提出
されることになって行ったのです。
【 明日に続く。】