第1270回 昭和の伝道師【 戦中、戦後のパイロットの物語】

第1269話 上原元帥の隠し子騒動の事。 2015年8月23日日曜日の投稿です。





   1923年 大正12年10月4日 陸軍省の田中 義一 陸軍大臣は、関東軍

  司令官 尾野 実信 陸軍大将を 軍事参議官に移動させ、 腹心の 白川

  義則 陸軍中将を 陸軍大将への内定と一緒に関東軍司令官に任命し、

  席の空いた、陸軍次官に、 姫路第10師団の 宇垣 一成 陸軍中将を

  移動させる人事を発令したのです。





イメージ 1
       


        そして、大杉 栄 、伊藤 野枝、 橘 宗一の 3名を殺害指示

        したのは上原 勇作元帥だという 噂が 新聞記者の周囲に広がって

        いったのです。

        陸軍参謀本部が 内偵したところ、 噂の出所は、 東京府立第1

        中学校で、 関東大震災当時、ここの運動場にテントを張って、

        警視庁が仮庁舎としていたのです。



イメージ 2
 


          噂の出所は、 警視庁 官房主事の 正力 松太郎という

         説が濃くなって行ったのです。

         どのような 噂であったかというと、 殺害された 伊藤 野枝の

         通っていた、 フランスの諜報組織のアジト、 東京神田の



イメージ 3



       メジスト教会のフランス人神父の手伝いをしていた フランス人娘に

       上原 元帥が 夜這い行為に及び、 フランス人娘が妊娠し、後藤内務

       大臣の 草 【 くさ 諜報員の事】であった、 大杉 栄の知る所となり、

       大杉 栄に 多額の金銭を要求され、ゆすられていたという証拠と根拠

       の乏しい話で、 上原元帥が命令して陸軍が 関東大震災に乗じて、

       フランス人両名を抹殺し、 放火に及び、 証拠隠滅のため、 大杉

        伊藤 両名を 東京憲兵隊の隊長 小山 介蔵 陸軍憲兵大佐に

       密かに命令し、 殺害せしめたという、 内容の噂であったのです。



イメージ 4

      

       陸軍参謀本部では、 東京の警視庁の 湯浅 警視総監を担いで、

       山本 権兵衛 内閣総理大臣に、大杉事件を直訴し、 アメリカ大使館

       に事件の真相を 伝えたのは、 警視庁の 正力 官房主事であると

       怨んでいたところに、 この噂話の発生源が 警視庁からとの情報に

       接し、 上原元帥、 河合 参謀総長に報告されることになって行った

       のです。



イメージ 5
     


       陸軍参謀本部の上原元帥は、激怒して、隠密に作戦を立て、

       海軍の 山本権兵衛 内閣総理大臣と、 田中 義一陸軍大臣と、

       宇垣 一成 陸軍次官と、 警視庁の湯浅 警視総監と、 正力

        松太郎 官房主事ら 内務官僚を 一気に追い払う作戦計画の

        研究が、密かに陸軍参謀本部で開始されたのです。



イメージ 6



            そして、その計画に密かに、野党 憲政会の党首 加藤 高明

            議員等の 三菱財閥などの議員グループも背後で表に出ず

            動いていくことになるのです。




イメージ 8




            次の内閣総理大臣をうかがう、 加藤 高明 議員から見ると、

            このまま、 加藤 友三郎 内閣、 続いて山本権兵衛政権が

            長続きして、 そして、 その義理の息子の 財部 彪 内閣

            と続いて行くと、 人事の山本と呼ばれる、山本総理が 要所

            を固めてしまうと、 いつまで経っても総理の椅子はめぐって

            こないと考えるようになって行ったのです。



イメージ 7



         加藤 高明 議員は、表に立たず、色を出さず、 背後で陸軍の

         上原派を金銭面で支援し、 陸軍参謀本部に、山本総理等を

         政界から 追い落とさせようと企てていったのです。


         【 明日に続く。】