第1500回 昭和の伝道師【 戦中、戦後のパイロットの物語】

第1499話 二重橋爆弾事件の事。 2016年4月29日金曜日の投稿です。





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      大正13年1月5日 東京府 警視庁、 東京憲兵隊では、1週間ほど前、

      東京の虎の門で、 摂政 皇太子 東宮 裕仁殿下が



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     難波 大助なる 共産主義者に 狙撃され、 侍従長に弾丸が命中し

     負傷するという事件が発生し、 その後、 年が変わって、新年早々、

     警備の不行き届きを口実に、 当時の 湯浅 創平 警視総監が更迭され、

     警備部長の 正力 松太郎氏が懲戒免職になるという前代未聞の事件が

     発生し、警視庁、 東京憲兵隊では、二度と同じ事件は繰り返すまいと



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     警戒を厳としていたのです。

     当時、 1月5日 夕方から小雨が降り出し、 私服姿で巡回中であった

     警視庁 日比谷署の 岡本 緊英 巡査は、傘も差さずに、物陰から宮城

     【 きゅうじょう 現在の皇居の事】の様子をうかがう 不審人物を発見し、

     後から、 声をかけたのでした。



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     【 左が 支援者の自称 秀崎 広二  右が実行犯の キム ジソブ  】


 「 貴様、こんなところで いったい何をしておる。」 と声をかけると、 血走った目で

 キムは、 岡本巡査をにらみつけ、 右手を懐に入れて何かを握ったのです。

 岡本巡査は、傘をさしたまま、「 ワシは、警視庁 日比谷署のーーーー。」 と、

 言おうとした瞬間、 キムは、懐から手榴弾をとりだし、ピンを抜いて、思いっきり

 岡本巡査に投げつけたのです。

 とっさに、岡本巡査は、傘を前に出して、 手榴弾は、 傘にあたって、斜めに

 飛んでいき、 それを見た岡本巡査は、爆発する物と考えて、傘を投げ出して

 地面に伏せたのです。


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 キムは手榴弾を投げると、いちもくさんに二重橋方向に駆けだし、 手榴弾

 「シューー。」 と、音をたてた程度で、どういうわけか爆発しなかったのです。

 岡本 巡査は、地面から顔を上げると、 投げた キムは随分離れていて、

 「 こらーー、貴様、またんか。」と 大声を出して、後を追いかけたのです。


  キムは、懐から、手榴弾をとりだし、両手に持って、宮城の二重橋の門に

  向かって、駆けだしたのです。


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   当時、宮城の二重橋御門の衛兵をしていたのは、近衛師団の 福井、河原

   の2名の兵士で、 三八式小銃に着剣して、 キムの行く手の前をふさいだ

   のです。

   キムは、 「 うぉーーーりゃーーー。」 と、血相を変えて、小雨中、手榴弾

   を2名の兵士に向かって投げつけたのです。

   この手榴弾、どういうわけか爆発せず、 2人とも、 キムを取り押さえに

    前に出て行くと、 今度は、もう一発の手榴弾を投げつけ、 2人の兵士が

   後ずさりすると、 今度もどういうわけか、手榴弾は爆発しなかったのです。

   3人の間に、 無音の空白の数秒が経過し、 キムは 胸元から短銃を

   すっと抜いて、構えようとすると、 後から、 追いかけてきた 岡本 巡査が

   飛びついて、 3人対1人のとっくみあいの格闘になり、キムは取り押さえられ

   近衛兵に逮捕されることになったのです。


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                       【 当時の宮内省 】
 

  これらの報告を聞いた 宮内省では、昨年の27日についで、1週間程度で

  今度は手榴弾での 皇太子 東宮 裕仁殿下への襲撃に対し、驚きを隠せ

  なかったのです。   


   【明日に続く。】