第1521回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第1520話 相手が悪いの事。 2016年5月22日日曜日の投稿です。
大講堂の前で行われた、兵校【 へいこう 海軍兵学校の略語】綱引き競技で
懲罰訓練の発令を受け、皇国山に向かって 駆け足をしたのです。
この 皇国山の山頂で、分隊反省会なるものを開催し、今日の綱引きの
反省総括を行って、分隊伍長が監事【 海軍大尉】に報告する事になって
いたのです。
そこで、 その反省会で出た意見を取りまとめ、 報告し許可が下りなければ、
何度も、何度も登山をさせられることになり、 どのような事を取りまとめて
1度で了承を得て、 この制裁訓練を完結させるかが、 議論の中心になって
行ったのです。
私は飛行兵でしたので、当然ながら操縦兵、偵察兵、通信兵を取りまとめ
部隊を統帥し、大勢の兵士を命令で動かす立場であったのですが、1つ
感じた事をみなさんに紹介します。
わかりやすく、戦後の会社社会で例えますと、 会社の所有する車、 普通
自動車、 トラックでもなんでもよいのですが、 100台あったとします。
この100台を運用し、動かしていると、どこかで、人身事故、物損事故が
起きるわけです。
「 貴様は事故を起こして、どのような出来事があったのか。」 と問うと。
人間、誰でも自己保身に走り、「 ○○が急に出てきてーー云々。」
「 相手がぶつかってきましたーー云々。」 と、つまり、「他の人が悪い。」
「 自分は、悪くないのです。」 と、 こんな申し立てをする人が
多いのです。
そして、ずっと 観察していると、このような申し立てをする人は、 また
同様の事故を繰り返すのです。
飛行機もそうですが、絶えず発動機を回して、動いていないと墜落
してしまいます。
動いていると、故障したり、いろんなトラブルがあるわけですが
私達は、決して、整備員が悪いとか、人が悪いとか、そういう事を
言わないよう教育を受けていったのです。
身近な場所で、 事故をおこして、「 いゃーー相手がーー云々。」 などと
話している人がいましたら、 人前は避けて、 2人だけで、 「そのような
心がけでは、 すぐまた事故を起こすぞ。」 と、 耳打ちしてあげてください。
私も色々失敗をしでかし、大きな事故を起こして 連合艦隊司令長官に呼び
出されたり、いろんな経験をすることになるのですが、 順番に紹介して
行きたいと思っています。
【 明日に続く。】