第1528回 昭和の伝道師【 戦中、戦後のパイロットの物語】
第1527話 大ドイツ主義の事。 2016年5月29日日曜日の投稿です。
理由というのはよくわかりました。 どうして貴方はその後、バイエルンの
外人部隊に入隊したのですか、 検察側が申し立てるように、軍隊の中に
入り込み、 過激分子を部隊内で煽動し、 反乱を起こすためであったの
ですか、 それとも、別の目的があったのですか。」 と ヒットラーに問いかけ
たのです。
ヒットラーは、 しばらく沈黙し、法廷内のざわつきが納まると、 当時、大ドイツ
主義と呼ばれていた独自の考えを申し立て始めたのです。
長いので要約すると、 当時、ドイツ人、 つまり、ゲルマン系の民族というのは
ヨーロッパ各地に点在していて、これらのドイツ人が心を1つにして、ドイツを
ドイツ系の住民が多数住んでおり、 これらの地域をドイツ領にして、巨大な
ドイツの帝国を打ち立てる必要があると力説したのです。
「その手始めに、 まずは世がドイツの軍隊に入隊し、 ドイツの為に命を
捧げて、 国の為に尽くすことが、ドイツ民族の1人として行うべきであると考え
のです。
【 1番右端が 当時のヒットラー】
裁判長は、「 被告人は、鉄十字章 という名誉ある勲章を受章していま
すが、その受章した 理由を説明してください。」 と、 問いかけると、ヒットラーは
欧州大戦こと、 第1次世界大戦での自分の苦労話を始めたのです。
その話を聞いていた検察側は、「 裁判長、異議あり、 被告人は裁判には
関係ない申し立てをして、裁判を長引かせています、 発言を却下願います。」
と、申し立てたのですが、裁判長は、「 検察側の申し立てを却下します、この
裁判は、原告の検察側、 被告のアドルフ ヒットラー両方から出来るだけ証言
を聞いて判決を決定したいと考えており、 被告の申し立ても出来るだけ聞いて、
申し立ての時間も 出来るだけ被告にあたえたいと考えます。」
「被告は、そのまま答弁を続けてください。」 と語り、ヒットラーは自分の
言いたいことを申し立てていったのです。
その時間というのは、4時間程度しゃべり続けたそうで、 どうせ殺されるなら
思いっきり 語ったてやろうと当時、ヒットラーは考えていたようです。
当時、 2級鉄十字章という 勲章は、 日本で言えば、金鴲勲章 【 きんし
くんしょう】に該当する、 末端の兵、下士官が国からもらえる名誉ある勲章で
誰もがもらえる勲章ではなかったのです。
数千人の部隊の中で、年間、 数人受賞者が出るか、出ないか、そういう勲章
で、これらのヒットラーの話を報道記者は新聞記事にしてドイツ全土に配達
されて行ったのです。
すると、どうなっていったかというと、 ドイツの世論は、 カール バイエルン州
総督などは、 ヒットラーは、 ドイツを分裂させようと外国から入り込んだ、
扇動家と決めつけて、 ヒットラーの悪い噂を 振りまいていたのですが、 国民
から見ると、 ヒットラーは大ドイツ主義をかかげ、 わざわざ外国からドイツの為
に馳せ参じ、 ドイツの為に 第1次世界大戦に従軍し、外国人ながら、鉄十字章
を受賞し、 ドイツの為に命を投げ出して、報国した、英雄ではないかと、こう
なって行ったのです。
そして、 「自分が知らない場所で発生した事件についても、すべての責任は、
総統である、 ヒットラー自身が責任を取り、末端の党員、デモの参加者には
罪を問わないでほしい 。」 と、申し立てたのです。
続けて、「 指導者は、 たとえ、機関銃の銃口を突きつけられようとも、
たじろぐことは許されない。」 と、 語り。 それらの話が新聞記事で紹介
されると、 人々は、 「 さすがは、鉄十字章受賞者、 すべてがドイツ騎士道
精神そのもので、潔い、 見事な心構え。」 と評され、 反面、 それまで
ドイツ陸軍の英雄として紹介されていた、 ルーデンドルフ 陸軍大将らは、
他人に責任を転嫁し、自分は無罪を主張し、 愚かきわまりないと、評判を
どんどん下げていく 新聞報道が行われていったのです。
なって行ったのです。
【 明日に続く。】