第1857回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第1856話 壬午事変【じんごじへん】 仁川府の襲撃事件の事。
2017年7月21日金曜日の投稿です。
在朝鮮 日本公使館一行は、2日かけて仁川【じんせん】に脱出し、 その間、
同行の人達が命を朝鮮人に奪われ、 傷を受けて、 足手まといになると迷惑が
かかるというので、自決した人もいたと言われています。
仁川府 という役所にたどり着き、保護を求め、 案内された宿舎で崩れるように
一行は倒れ込み、 死ぬように眠りこけたのです。
花房 義質【よしもと】朝鮮公使の落ち度というのは、 仁川にたどり着いて
安心して、見張りなどを立てずに眠りこけてしまったことでした。
仕方がないと言えば、そうですが、安心して隙ができたようです。
夜、目を冷ますと、 宮綱 太郎 二等巡査 18才が、「 公使、廣戸巡査達は
どうなったのでしょうか。」 と、問うと、「 なに、 そのうち、追いついてくるけぇ
心配せんでええ。」と語り、話をしていると、 観音開きの朝鮮式の戸を「とんとん
とんとん 。」 とたたく音がするので、 「 ほれ、 追いついたんじゃろう。」と言い
戸の近くにいた、学生の 近藤 道堅 22才に、 花房公使が、「 近藤君、廣戸
巡査達に違いない、開けてあげてくれぃ。」と言うと、 彼は、「 はぃ。」 と言って
開き戸を開けたのです。
開けたとたん、「 うわーーー。」と叫んで、 反転180度に花房公使の方を
振り返ると、袈裟【けさ ななめにと言う事】斬りに斬られて、血が噴き出し、
今度は、後から背中を斬られて、 崩れるように、近藤 学生は倒れ込んで、
床に 血が広がって行ったのです。
水野 陸軍武官が、 「みんな起きろ、襲撃、 武器を取れ。」と叫ぶと同時に、
が、槍で突かれて、 「 うっうわーー。」とうめき声を上げると、 暗闇の中で乱戦
が始まったのです。
程が戦死し、多くの死傷者が出た事件、 通称 雲揚号事件【うんようごうじけん】
の関係者が 仁川府の役所にいて、 それらの人が、日本人に復讐する絶好の
機会、 公使 花房 義質【よしもと】一行を皆殺しにしようと計画し、夜を待って
夜討ちをかけてきたのだと言われています。
日本海軍の井上 良馨 海軍少佐の挑発行為は、 外務省の朝鮮公使を襲撃
するという、国際法違反行為に発展していったのです。
そして、 当時の仁川府は、見て 見ぬ振りをして、 警備なども行わず、一部の
言い伝えでは、 仁川府の役人が襲撃の指揮を執っていたと言われています。
花房 義質 朝鮮公使達は、 明かりが消え、暗闇の中を必死に応戦し、
多くの日本人が 血祭りになって行ったと言われています。
【 明日に続く。】