第9回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第8話 橿原神宮の深田池での水泳競争の事。 2012年2月11日土曜日投稿です。
学校が終わって、荷物をまとめて帰ろうとすると、堀内のやつが、「おい、たこ、
おまー、ほんまに泳げるんかいなー。」と、聞くものですから、「おまえよりは上手や。」
と返事をすると、「帰り道の橿原神宮の向こうの深田池で、待ち合わせや、たこと、
どっちが速いか、競争や。」というので、池にで泳ぐ競争をすることになったのでした。
内心、練習していたので、堀内をぎゃふんと言わせてやろうと考えていたのですが、
こちらは、平泳ぎ、やつは、クロール、やつのほうが速いわけです、「へへへへ、
たこは、たこ泳ぎ、ははははははっ、。」と、こけにされ、悔しい思いをしている所に、
「こらー、池で泳いでいるのは、だれやー、ばかもーん。」と、宮司のおっさんが
怒って近づいてきたのでした、堀内のやつは、服を持って上手に逃亡を図ったの
ですが、私は宮司のおっさんに捕まってしまいまして、説教を受ける羽目になった
のです。
翌日、宮司のおじさん、畝傍中学の教頭先生に告げ口したのか、教頭先生に
呼ばれて大怒られであったのです。
その翌日、教室で担任の先生が、「伊勢の見ヶ浦というところに観海流【かん
かい流】という、戦国時代の古式の水泳法の合宿があるので、行きたい者は、
名乗り出るように、」と、告げられたので、どうしようかと考えていると、担任の
先生が、「おい、たこ、変なとこで泳がず、ちゃんとした海で泳いでこい。」といわ
れたので、「旅費がかかるので、親に聞いて、あすご返事させてください。」と言って、
返事を延ばしたのです。
学校の帰り道、五条の本屋に立ち寄ると、敏恵さんから、「淵田くん、神社の池で
泳いでいて、宮司さんにつかまったそうやねー、堀内君からきいたんよー、おぼれ
たら危ないから、私心配やわー。」と言われ、赤くなってしまい、敏恵さんに、
「ふふふっ、ゆでだこみたい。」と笑われてしまったのです。
ここの本屋で、海軍兵学校について書いてある本を買って、読み出したのもこの頃
だったと記憶しています。
今から思い出すと、 ずいぶんと、おかしな事を昔はやったものでした。
【次回につづく】