第39回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第38話 視力不足に心を痛める。2012年 3月17日 土曜日の投稿です。
 
子供のころから、父親が、学校の教師と言うことで、漢文、古典の勉強を、たたき込まれた。
 
そういうわけで、国語、漢字、古典などは、いつも甲の成績で、クラスでも右に出る物はいないのであるが、勉学
 
に比例して、視力が悪くなるのには、困った。
 
このことは、後日、海軍に少尉で任官し、パイロットを目指す課程での大きな障害になった。
 
医者の話では、同じ物を近くで、長く見つめいてると、人間の目は、そのものに、焦点が合ってしまい、遠くが
 
ぼけて見えるようになるそうで、困ったことである。
 
いくら、成績が良くても、視力検査が合格しないと、不適格者になってしまう。
 
そこで、家で、寝っ転がって、考えていた。
 
天井を見つめると、天板が見える、「そうや、ええ考えが浮かんだわ。」 昨日の新聞を持ってきて、はさみで切っ
 
て、天井に、画鋲で貼ってみた。
 
新聞の字は、大きな文字と、小さな文字の組み合わせで、天井に張ると、さらに小さくなる。
 
ヒマな時、勉強の合間に、見つめるようにすれば、かいふくするかもしれへん。と考えたのだった。
 
はじめは、大きな見出しを読むようにして、徐々に、小さな活字を見るようにする。
 
なんとか、視力が回復すればよいのであるがと、試行錯誤していたのを記憶している。
 
そのうち、例の石井眼科に、視力検査の紙を取りに行ったとき、先生から、「毎日、朝起きたときに、きれいな、清
 
水で、目を洗うようにこころがけなさい。」と言われ、その言葉を信じて、毎日きれいな水で、目をあらうようにし
 
た。  【次回に続く。】