第52回、昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】
第51話 卒業証書を母に渡す。 2012年3月30日金曜日投稿。
卒業式の後、長年通った畝傍中学を後にして、その日は、走らずに、歩いて、良く景色を眺めながら、帰宅した。
帰宅して、母に卒業証書を手渡すと、嬉しそうにしてくれたのを覚えている。
当時は、尋常小学校を卒業したら、職人の見習いとか、仕事に就く者も多かった時代、中学で勉強させてもらっ
てありがたかったと、今でも思っている。
それだけ、日本という国は、当時、生活水準が低く、庶民は貧しかった。
その日の夜、父が学校から帰宅して、「卒業できたか。」と、言って、喜んでくれて、久々に、揃って、夕食をした。
母は、体の調子が悪いのだが、そのときだけは、笑顔で、祝ってくれた。
翌日から、学校に行かなくても良くなったので、勉強の時間がある程度、自由になったのであるが、もう、正味、
海軍兵学校の試験まで、3ヶ月ちょっと、入学試験に落ちたら、どこかに就職でもしようかと、思いながら、受験
勉強に力を入れていたのを覚えている。
【次回に続く。】