第53回 昭和の伝道師【戦中、戦後のパイロットの物語】

第52話 視力に悩む。 2012年3月31日 土曜日投稿
 
石井眼科に行って以来、毎日のように、視力回復に努め、朝、清水で、目を洗い、石井眼科で、買った視力表
 
を見て、い、ろ、は、に、ほ、と練習していたのであるが、残念なことに、いっこうに視力が回復しなかった。
 
偏った、好き嫌いの激しい食事をしていると、視力低下の元になるそうであるが、食事にも気おつけてはいたので
 
あるが、母が病気で倒れて以来、男の手料理となると、どうしても、偏ってしまう、いくら勉強が出来て、いくら体
 
力があっても、視力検査、1,0以上が、取れないと、不適格者になってしまう。困ったことであった。
 
日中の勉強の時間も、30分ほどしたら、庭に出て、体を動かして、遠くの緑を見つめて、これ以上目が悪くなる
 
のをふせいだ。
 
5月頃であったか、7月の兵学校の受験申込書を必要事項を書いて、海軍省の担当係に郵送で送付した。
 
いよいよ、運命の試験が近づいてきた。
 
聞いた話によると、身元調査が行われ、不適格となると、試験も受けられないという、門前払いである。
 
自分は、どうなるのであろうと、不安であったことを記憶している。
 
【次回に続く。】